「日経テレ東大学」終了、物言う株主が噛みついた! 「30億円の事業価値だった」とテレ東に株主提案
リムは株主提案の前置きで、再生回数や制作本数などから2022年10~12 月に約3500万円の税引き前利益を稼いだと推計。さらに、将来にわたって生み出す収益を現在価値に割り引いて企業価値を評価する方式で事業価値を算定したところ、その額は「約30億円に達した」と主張している。
そのうえで、テレ東HDが日経新聞と共同運営している事業において「日経新聞に有利な契約が結ばれている、またはテレ東HDが契約にある権利を十分に生かしていないリスクが内在する」と指摘。共同運営事業の契約における利益配分などを開示する項目をテレ東HDの会社定款に記載するよう、株主提案をしている。
一方、テレ東HDは提案に反対を表明。リムが約30億円とした日経テレ東大学の事業価値については、「一定の成果は得たものの、その収益、及び人件費を含めた費用の実態に照らせば、提案株主が示している利益及び事業価値には到底及ばないものであったといわざるを得ません」と全否定した。
2022年総会では意外と健闘
リムによる株主提案は今年で2度目だ。昨年と今年の提案内容には違いもあるが、共通している主張がある。7人いる社内取締役のうち4人が日経新聞元幹部という「天下り経営」では、配信やアニメといったテレ東の成長エンジンを生かすことができず、資本効率を意識した経営もできないというものだ。
そう考えると、「金の卵」かもしれなかった日経テレ東大学を終了させたことにリムが噛みついたのも納得できる。「資本コストを無視した経営判断によって株主価値が毀損するリスクがあるため、株主還元こそが少数株主保護に資する」として、増配を求めるのも同じ。現経営陣はお金の有用な使い方を知らないので、財布自体を取り上げようというわけだ。
今年リムが株主提案した議案は5つ。そのうち日経新聞との共同運営事業契約内容の開示や取締役報酬の個別開示など定款変更に関わるものが4案ある。
だが、株主総会で承認されるためのハードルは高い。出席株主の3分の2以上の賛成を得る必要があるからだ。
リムが昨年出した7議案の株主総会での賛成率をみると、「取締役報酬の個別開示」が18.44%、「顧問等の廃止」は16.67%だった。「日経新聞からの天下り禁止」の議案はさすがに8.15%だったものの、日経新聞がテレ東株の32%を保有していることを考えると、健闘したといえそうだ。
ネット界隈やテレビ業界を中心に大きく関心を集めた日経テレ東大学の終了。それを絡めた株主提案だけに、テレ東HD株主の心に意外と響くかもしれない。
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