大人ひとり、カブトムシを東京でせっせと探す理由 他人の顔色を気にしない「ひとりあそび」の方法
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もうすぐ夏がやってくる。小学生のころ、夏休みにはカブトムシやクワガタを探して、朝や夜の森に出かけていったことがある人は多いはずだ。だが、小学校の高学年にもなるとだんだんと虫採りには興味がなくなっていって、いつの間にか、夏が来ても虫を探しに行かなくなってしまった方が大半なのではないだろうか。
評論家の宇野常寛氏は、大人になってから都会で、「ひとり」でカブトムシ採りをするようになった。夜や朝の森に出かけると、意外と身近なところに、ふだん自分が生きている世界とは違う仕組みやルールで動いている世界があることを実感でき、「いま自分が接している世界がつまらなかったり、退屈だったりしても、絶望しなくてすむようになる」という。
「あのころ」に戻って無邪気に森に出かけようという誘いではなく、「大人になった」からこそできる、あたらしい遊びに没頭することのススメ。「ひとり」で世界を味わう魅力を、新著『ひとりあそびの教科書』から一部抜粋・再編集して紹介する。
大人のカブトムシ探し
ある日、30代になったばかりの僕はふと、よし、今年の夏はカブトムシを探しに行こう、と思い立った。たまたま当時、僕の事務所(雑誌などをつくる仕事をしている)を手伝ってくれていた学生が、カブトムシ採りの名人で、彼の通っていた大学の近くにある森林公園にカブトムシがたくさんいることを何かのついでに教えてくれたのだ。彼の話を聞いているうちに、僕はだんだんと子どものころのあのワクワクした気持ちを抑えられなくなった。
彼に案内されたそこは建売住宅の並ぶ住宅街の中のすぐそばにある比較的大きな公園の中の森で、田舎育ちの僕はこんなところにもカブトムシがいるということに、衝撃を受けたものだった。
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