「日本の山で最恐生物はダニ」と昆虫学者が語る訳 刺されて死に至ることも!アウトドア好きは注意

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日本の野山にも生息するチマダニの一種(筆者撮影)
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巨体を誇るゾウや毒を持つヘビ、病原体を運ぶ虫など、世界にはさまざまな「危険生物」が存在します。調査で世界中に足を運ぶ昆虫学者であり、『角川の集める図鑑GET! 危険生物』の昆虫、クモ・サソリなどの監修を担当した、九州大学総合研究博物館の丸山宗利准教授が、実際に危険生物に遭遇した体験談を語ります。

いろいろな病気を媒介するマダニ

私は学生時代から野山で昆虫を探してきた。だんだんと調査地は広がり、今では世界中のあちこちにでかけて、昆虫採集をしている。その分、危険な生き物に出会う機会も多い。海の生き物について触れるとキリがないので、ここでは陸域の生き物について、いくつかの経験をお話ししたい。

まずは日本である。日本の野山ほど世界的に安全な場所は多くない。いや、これはもはや過去形かもしれない。その前提もだんだん崩れている。

今、日本の野山で何が一番怖いかというと、それはマダニ類である。ヤマトマダニ、フタトゲチマダニ、タカサゴキララマダニなど、身近にもさまざまなものがいる。

そもそもの始まりは温暖化や植林政策に起因するシカやイノシシなどの大型哺乳類の増加で、そういう動物から吸血するマダニ類が増え、哺乳類の活動場所の広がりとともに、人間が刺される機会も増えた。

マダニ類はいろいろな病気を媒介するが、とくに怖いのは重症熱性血小板減少症候群(SFTS)である。根治療法はなく、高齢者の致死率が高い。西日本に症例が集中しているが、東日本でもマダニから検出されているので、これからますますマダニが増えると、東日本でも増えてくるだろう。

すべての個体のマダニが病原ウイルスを持っているわけではないので、刺されたら必ず発症するわけではないが、気をつけなければならない。最近では少し山を歩くと、必ずといってよいほどマダニが靴や服についてくるので、とても恐ろしいことである。

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