「日本の山で最恐生物はダニ」と昆虫学者が語る訳 刺されて死に至ることも!アウトドア好きは注意
また、近年話題になっているヒアリの仲間は、南アメリカに行くと、あちこちにさまざまな種がいる。私がはじめて南アメリカに行ったとき、攻撃性の低いオオズアリの仲間と間違って巣を掘ってしまい、刺された瞬間にあまりの痛みの激しさに涙をこらえたものである。
ヒアリそのものには、移入された台湾で出会ったことがあるが、絶対に刺されたくない虫の筆頭である。
そもそも熱帯のアリには毒針を持っているものが多い。ヒアリの仲間も痛かったが、一番痛かったのはサシハリアリ(パラポネラ)である。ペルーの山奥にいたとき、あたりにたくさん歩いているので、普段からとても気を付けていたのだが、ある日、食卓のベンチにいることに気づかずに座ってしまい、お尻を刺され、5分間くらい息が止まりそうなくらい悶絶した。
虫以外の生き物でも怖い思いは何度かしている。タイの山奥ではアジアゾウで何度か怖い思いをした。夜中に歩き回るのはとくに危険で、木をなぎ倒す音に耳をすませてジャングルを歩く必要がある。
一度、灯火採集といって、森の中で明かりをつけて、虫を集めていた時に、気づいたらメスのゾウが近くにいて、大急ぎで逃げたことがあった。そこでは観光客の子どもがゾウに殺された事故もあり、思わず腰が抜けそうになった。ゾウは道路を歩いてきたので、こちらに音が聞こえなかったのである。
最も恐ろしかったヘビは「テルシオペロ」
同じくタイでは、4メートルを超えるキングコブラに遭遇したことがあった。世界最大の毒蛇で、鎌首をもたげた状態で向かってきたときには、その迫力に心底驚いた。恐ろしいという以前に何か神々しいものを見た気がした。かまれればまず命はないが、むやみにヒトをかむような生き物には見えなかったし、実際にかまれるのは、誤って不用意に刺激してしまうなど、不運によるところが大きいらしい。
南アメリカのエクアドルではアナコンダの子どもに遭遇したことがあった。ヘビを見ると、毒蛇でないことが確実であれば、すぐに捕まえたくなってしまう。3メートルほどの子どもだが、何しろ太い。尻尾を引っ張ってみたが、あまりの力に手を離さざるをえなかった。
最も恐ろしかったヘビといえば、コスタリカの自然保護区で踏みつけそうになったテルシオペロである。かまれたら、ほぼ最後と思っていいほどの強力な毒を持つ。生き物を保護している場所なので、なにしろ個体数が多かった。
ある晩、横着して、電池が切れかかった薄暗いヘッドライトで歩いていると、踏み出す瞬間にテルシオペロが足元にいることに気づき、間違えてまたいでしまうところだった。運が悪ければかまれてしまっていただろう。そのとき以来、ヘッドライトの電池に気を付け、つねに強い光にしておこうと肝に銘じた。
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