トラが人を襲う事件が19世紀末から増え始めた訳 2022年の干支で絶滅危惧種でもあるその生態

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トラの生態を解説します(写真: MENG KONGSAK/PIXTA)
2022年の干支はトラです。アジアに生息していて、文学や絵画などで描かれることも多い動物で、その力強いイメージどおり、ワイルドで危険な面もあります。そのトラをはじめ、野生の危険生物の生態について解説します。
※本稿は「角川の集める図鑑GET! 危険生物」を一部抜粋・再構成したものです。

現在は絶滅危惧種になっているトラ

トラが人を襲う事件はたびたび起こっています。特に被害が大きかったのが、1900~1907年にかけてインドとネパールの国境地帯、チャンパーワット周辺で、ベンガルトラが起こした事件です。

人間を襲っていたのは1頭のメスで、ジム・コーベットというハンターに射殺されるまでに、少なくとも436人が犠牲になったと言われています。その後もベンガルトラによる事件は起こっており、インド周辺では現在も毎年50人前後が亡くなっています。

トラによる人を襲撃する事件は、19世紀末に増え始めました。これは人間による森林の開発が始まったことが原因です。

21世紀に入っても、トラによる事件は起きています。シベリアに生息し、トラの亜種の中でも最も身体の大きいアムールトラは用心深く、人間を滅多に襲うことはありませんが、2002年1月に男性を襲う事件がありました。場所は中国北東部、ロシア国境近くの森で、襲われた男性は生き延びましたが、翌日1人の女性が襲われて殺されました。襲ったトラも重傷を負っており、しばらくして死亡しました。

その後の調べで、襲われた男性が密猟者で、トラを罠にかけて重傷を負わせていたことが判明し、男性は捕まりました。密猟者は骨などの身体の一部を薬の材料にしたり、毛皮をとったりするために、トラを狙います。

森林開発や密猟のために、トラは数を減らしていて、現在は絶滅危惧種になっています。

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