「日本の山で最恐生物はダニ」と昆虫学者が語る訳 刺されて死に至ることも!アウトドア好きは注意

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フランス領ギアナに行ったときには、アイゾメヤドクガエルを見つけ、その美しさに狂喜して、あとで撮影しようと瓶に入れて捕まえた。

ところが、その夜、トイレに行くときにその瓶を見ると、逃げたカエルが蓋の上に乗っていた。寝ぼけた私は、それをよりによって素手で捕まえて瓶に戻したのだが、触れた部分に傷があって、痛み出した。このカエルは皮膚から強烈な毒を出すのである。そのときばかりは死ぬかと思ったが、幸いに何事もなかった。

アイゾメヤドクガエル(筆者撮影)

イヌ、ネコには触らないほうがいいワケ

こういう体験談を話し出すとキリがないが、最後にマラリアを媒介するカと並んで怖いものがある。それは哺乳類だ。とくにイヌやネコは怖い。

『角川の集める図鑑GET! 危険生物』(KADOKAWA)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

実は多くの国では狂犬病が流行していて、感染して発症すると確実に死んでしまう。そういう国では、たとえ飼われていても、イヌやネコなどには決して触らないように気をつけなければならない。もちろん、コウモリやマングースなどの野生動物にも気をつける必要がある。

狂犬病に関しては、流行国に行く前に予防接種を受けておくこと。そして、野生生物と接触する機会があった場合(とくに唾液に触れたとき)、現地の病院か、帰国して、追加の接種を数回受ける必要がある。

私は何度も危ない目にあっていて、自慢になることではないが、狂犬病の追加接種だけで10回以上受けたことがある。予防接種を受けていない場合でも、事後の接種(暴露後接種)で助かることもある。しかし、その場合、日本では手に入らない狂犬病免疫グロブリンを注射して初めて安心できるものであるし、首などをかまれた場合には、間に合わないことがあるので、事前に予防接種を打つ価値は大いにある。

とにかく日本以外の国では、のんびりとピクニックとはいかない。事前にどんな病気が流行しているか、どんな危険な野生動物がいるのか、それらをしっかりと図鑑などを使って勉強していくのが、行く人の義務である。

丸山 宗利 九州大学総合研究博物館准教授

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まるやま むねとし / Munetoshi Maruyama

静岡県生まれ、東京育ち。アリやシロアリと共生する昆虫の分類学や系統学が専門。少年のころから昆虫好き、絶対数の少ない都会の環境で、虫の存在のありがたみを感じながら成長。北海道大学大学院農学研究科昆虫体系学教室に所属、2003年博士号取得。その後、国立科学博物館で3年間、アメリカ・シカゴのフィールド自然史博物館で1年間、研究員を務める。2008年、九州大学総合研究博物館に着任。著書に2014年「昆虫はすごい」(光文社新書)など。

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