GCV(連結車両総重量/トラクターである車両と、牽引されるトレーラー&積荷、そして乗員)で最大60tにもなる車両では、パワフルな走りとともに安定した制動性能、つまりブレーキが重要になる。GW530では、エンジン単体でのブレーキトルク(≒エンジンブレーキの強さ)を、同社の11Lエンジンと比較して約1.5倍にあたる1495N・mまで高めた。
大型車ならではの装備である「補助ブレーキ」も強力だ。通常のクオンが搭載する補助ブレーキである「電磁式リターダー」のブレーキトルクは500N・mだが、GW530では補助ブレーキを「流体式リターダー」へと構造変更することで、6.5倍にあたる3250N・mの強力なブレーキトルクを生み出している。
ブレーキ操作の負担を軽減
エンジン単体、ならびに流体式リターダーの相乗効果は絶大で実際の道路環境では、いわゆるブレーキペダル(大型車の場合はフットブレーキ、サービスブレーキとも呼ぶ)を踏む回数が大きく減少する。
その実証のため、開発チームではGCW37.4tに設定したGW530で、群馬県、長野県の県境にある全長17㎞の碓氷バイパス道路(国道18号)で降坂走行を行った。山頂から麓までの下り勾配区間は約10㎞におよび、平均勾配は5.6%、最大では8.0%。筆者はここを大型車、乗用車、バイクで何度も走らせたが、エンジンブレーキだけでは増速するため軽量なバイクであっても適切なブレーキ操作が必要。それが重量のかさむ大型車となればなおさらだ。
GW530では、同区間を5回のフットブレーキで走り切った。同区間の走行データを忠実に再現したシミュレーション結果ながら、流体式リターダーがない車両では41回と8.2倍もフットブレーキを踏む回数が増えたという。
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