大谷翔平はついに「歴史的な存在」になりつつある ベーブ・ルースと同様の「野球の変革者」なるか

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その生活が「野球一筋」であることは、多くのメディアが報じている。ニューヨークでの囲み取材で「ニューヨークで好きな場所は?」と聞かれ「外に出たことがないからわからない」と言ってメディアを驚かせたように、彼はWBCの期間中も仲間の食事会よりも練習を優先させた。

また休みの日はひたすら睡眠をとっているともいう。食事はほとんど自炊。一方で、シアトル郊外にあるトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」を自費で利用し、新たな球種や、新しい打法の習得に余念がない。グランドの中でも外でも「文句のつけようがない」パーフェクトぶりだ。

今の大谷翔平の活躍は、150年近いMLBの歴史でも「比肩しうる存在がない」状態だ。少し前まで1世紀前のベーブ・ルースが比較対象になった。ルースはレッドソックスで投手から打者に転向する1~2年間、投打で活躍したが、ヤンキースでは打者一本になっている。日本でも過去には藤村冨美男、川上哲治、田宮謙次郎など投打で活躍した選手がいるにはいたが、いずれもルース同様「投手から打者への移行期間」に少し活躍しただけだ。

「超人」大谷の活躍

大谷は2013年に日本ハムに入団し、トミー・ジョン手術で投げられなかった期間を除いても10年近く「二刀流」を続けている。こんな選手は近代野球では一人もいなかった。

大谷はMLBのルールを2つ改定させている。1つは「2Way(二刀流)」という新しいポジションを設定させたこと。さらに「投手と指名打者を掛け持ちすることができる」というルールも新設させた。

MLBとしては、今後、大谷に続いて投打で活躍する選手が出てくることも想定して「2Way」というポジションを設けたものの、本格的に投打で活躍する選手はいまだに出てきていない。今のところ「2Way」も「投手、指名打者の掛け持ち」も、大谷だけのルールになっている。

野球関係者に聞くと「先発で100球程度投げた投手は、翌日には肩、肘が張って十分には動かせない。腰も張ってフルでは動くことができないのが普通だ」という。

先発投手はノースロー、軽いキャッチボールからブルペン入りまで決められたステップを経て、次の登板に向けて徐々に調整するのだが、大谷は登板した翌日に打席に立ってフルスイングをしてグラウンドを駆け回っている。また登板が近づくと大谷は打撃練習の傍らブルペンでちょっと投げたりもする。

いくら長い睡眠時間でチャージが足りているからと言っても、こんなことは普通できないのだ。「超人」と言う言葉は安易に使いたくないが、大谷はまさにそういう存在ではある。

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