というのも、これまでオアシスが打ち出してきたキャンペーンによって、内山氏の信頼は失墜しているからだ。
オアシスがキャンペーンを仕掛けたのは2022年5月だった。「Protect Fujitec(フジテックを守るために)」と題した特設サイトを立ち上げ、全61ページにもわたる資料を掲載。当時社長だった内山氏に関わる疑惑の数々を追及した。
この資料では、内山家が私的利用するための高級マンションをフジテックが取得し、適正価格よりも大幅に安い金額で内山家に売却した疑惑があることを指摘。さらに内山氏がフジテックの社員に自宅の掃除をさせていたなど、権限を濫用していると糾弾した。
内山氏が信頼を大きく失ったのは、この資料が公開された後に開催された6月の株主総会だった。
内山氏は、総会の1時間前に取締役への再任議案を取り下げるという前代未聞の行動に出たのだ。しかも取り下げ後に、取締役でも執行役でもない「会長」のポジションに就いた。
株主からすると内山氏が経営陣にとどまることについて賛否の意志を示すことができなくなった。「異議を唱える機会を奪われた」と、オアシスのセス・フィッシャー最高投資責任者が憤るのもうなづける。
第三者委は協力姿勢を問題視
オアシス提案の社外取締役が選任された2023年2月の臨時株主総会後の動きも、内山氏の信頼失墜に大きく影響しているだろう。
新体制となったフジテックは4月、内山氏の疑惑について調べていた第三者委員会が契約を打ち切ったことを明らかにした。この調査は当初、2022年12月が期限とされていた。それ以降は調査継続の契約が更新されていなかったことになる。
また、2月の臨時総会直前にフジテックが開示していた資料では、「当社は、全面的に協力している」としていた。しかし第三者委員会は、「フジテックが非協力的であった」「内山氏の協力が得られる見通しがなくなった」ことを契約打ち切りの理由に挙げている。
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