「月収10万円」都内で一人暮らし続ける女性の苦境 食事はフードバンク頼り、娯楽はテレビだけ

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雅美さんは比率が収入の5割を超える家賃を払って、食料すら買えないギリギリの生活を送っている。完全な貧困状態である。さらに東京には人間関係はまったくないようで、深刻な関係性の貧困も抱えていた。いまは粛々と在宅勤務の仕事をしているだけなので、基本的に誰とも会話をしない。今も「誰かと話すのは本当にひさしぶり」と言っている。

現在の時給1080円、1日6時間の在宅勤務。会社からは正規への転換や昇給はないと言い渡されている。仕事は続けることはできるが、食料すら買えない貧困生活から抜けだすことができない。

「いまの生活は、家賃を払うと3万円くらいしか残らない。かといって引っ越しも難しい。家賃や光熱費を削るには限界があるので、食費を抑えるためにフードバンクを利用しています。アンケートで小さな収入を得たり、身の回りの物をメルカリで売ったりして、なんとか生きている。昇給はないし、退職金もない。日々、節約の生活です」

雅美さんは人間関係がゼロなので、情報もない。生活保護を受けるか、もしくはこのままの生活をずっと続けるしか選択肢がないのだ。筆者は「田舎に帰省することは考えてないのか」と聞いたが、彼女は強く首を横に振る。絶対に帰りたくないという強い意思を感じる。彼女はいったいどうして、そのような厳しい状況となってしまったのか。

勉強したことが無意味になった

出身は農業が盛んな地域という。実家から車で30分かかる駅前はシャッター商店街で、著しい少子高齢化が進行し尽くしている。地元の県立高校を卒業して、地元の専門学校に進学した。

「30年前は授業内容がアナログの時代でした。卒業したら世の中がデジタルにガラリと変わり、勉強したことが無意味になった。その後、PC技能を独学で習得した」

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