「人とタスク」を区別できない管理職が部下を潰す 職場の心理的安全性を高める「一番重要な鉄則」

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人とタスクを区別せずに伝えると、おそらくこんな感じになるでしょう。

「こんな誤解を招く表現では、とてもじゃないけど掲載できないよ。なんであなたはまともな文章が書けないの?」

いかがでしょうか。ついこんなふうに言っていませんか。

この伝え方がマズいのは、「タスク」に関するネガティブフィードバックだけでなく、「なんであなたはまともな文章が書けないの?」と、タスクを担った「人」のことも否定してしまっている点です。

では、人とタスクを区別しながら伝えると、どうなるでしょうか。

「昨日は遅くまで残ってこの文章を考えてくれたんだね。お疲れ様。ただね、この表現はお客様の誤解を招くから、このままでは掲載できないな。この部分の表現を再検討してくれるかな」

タスクに関してネガティブフィードバックする一方で、タスクに取り組んだメンバーの労はしっかりとねぎらっています。このように伝えれば、相手も「自分が否定された」とは受け取らないと思います。

マネジャーの指摘に萎縮したり反発を覚えたりせず、前向きにタスクに向き合うことができるでしょう。

否定されると居場所がなくなる

職場に「心理的安全性がある」ということは、そこにいる人が「安全」と感じていることを意味します。人は何をもって職場で「安全だ」と感じるかというと、「自分には居場所がある」と感じられることです。職場やチームの中で、「自分の居場所がある」と感じられると安心できます。

では、どんなときに居場所を感じられなくなるのかというと、自分が否定されたときです。「お前はダメな人間だ」などと否定されると、「自分の居場所がない」と感じてしまいます。だから否定されたくないし、もっと言えば「承認されたい」のです。「頑張ってくれたんだね、ありがとう」と存在を認められたいのです。これを「承認欲求」と言います。

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