頑張ってるのに成果が出ない人はサ行が足りない プレゼン術より傾聴力のほうがよっぽど重要

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■95%セールスはエスキモー全員に氷を売ろうとする

突然ですが、あなたはエスキモーに氷を売ることができますか?

エスキモーとは以前の呼び名で、アラスカからグリーンランドまでの極寒の地に住み、主として狩猟をして暮らしている人々(現在では居住地域によってイヌイットあるいはイヌピアットという)のことです。

「イヌイットに氷を売ってこい」と指示されたら、とりあえず極寒の地に行って、イヌイットの人たちを前に「どうすれば売れるだろう?」と「How」から入って、「氷を売る方法」ばかりを考えてしまうのが95%セールスです。そして「当社の氷は他社の氷より温度が低い」などと、商材の機能にばかりフォーカスしてしまいます。

一方、5%セールスは、「なぜ氷を売らないといけないのだろう?」と「Why」から入ります。そして、氷を売る対象である「相手に興味を持つ」ことをします。

「氷を売る相手は、そもそもどういう人なのだろう?」

「その人にはどういう課題があって、どういう願望があるのだろう?」

5%セールスは、相手の課題や願望を起点に顧客を見ていきます。

「氷を欲している人はどんな人だろう?」

「氷には何ができるのだろう?」

「冷却能力がある? だったら冷却能力を欲している人はどんな人だろう?」

Why思考で相手の本質的な不安や欲求にアプローチ

このように、あくまで相手の抱える課題や願望にフォーカスして、「その課題が生まれたのはなぜだろう?」「その願望が生まれたのはなぜだろう?」というWhy思考で相手の本質的な不安や欲求にアプローチしていきます。

イヌイットに興味を持って調べてみると、グリーンランドの北部から南部へ移住して都市生活をする人が増えていることが分かります。さらに調べると、カナダのケベック州にあるモントリオールという都市に相当数のイヌイットがいることを知ることができます。

そこで都市部に住んでいるイヌイットにフォーカスして、たとえば「食材を腐らせないために氷を必要としている家庭」や「冷えた飲み物を提供するために氷を活用したい飲食店」などにアプローチ先を絞っていけば、氷を売ることができる確率は大きく高まるでしょう。

5%セールスはこのように相手のことを調べ、営業する先を狭めて、そこに向けてセールスを行います。一方95%セールスは調べる前に極寒の地に出向いて、イヌイット全員をターゲットにして氷を売ろうとしているのです。

〈参考文献〉『エスキモーに氷を売る』(ジョン・スポールストラ著、きこ書房、2000年)
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