95%セールスの調査で、顧客への謝罪訪問でも「ダ行」を使ってしまうセールスが多いことが分かりました。
システム障害や製品不具合で企業顧客に迷惑をかけた場合に、訪問して謝罪することがあります。私も前職マイクロソフトに所属した際に、最高品質責任者として500件以上の謝罪訪問を経験しました。確かに、謝罪訪問時に「ダ行」で話し始めるセールスは顧客対応が下手でした。
顧客が怒り心頭の際に、「ダ行」で話をすると相手の沸点が上がります。
とくに頭を下げることが目的であると勘違いしているセールスは、「だけど」「でも」「ですが」「どうしても」とダ行を使い、相手の感情を逆なでします。「だ」「で」「ど」などの濁音も、耳障りになるようです。
5%セールスは「サ行」で褒める
相手の状況を理解し、イカリ(怒り)をリカイ(理解)に変えることを目的に謝罪訪問する5%セールスは、言葉選びに慎重です。相手が気に障りそうなNGワードは使わず、言い訳に捉えられてしまう「ですが」「どうしても」といった言葉は使いません。
もちろん、否定しなくてはいけない場面はどうしても出てきます。そんなとき、5%セールスは、「ダ行」ではなく、「サ行」の「しかしながら」「そうではありますが」と使うことが多いようです。
5%セールスは社内でも「サ行」をよく使います。
相手が主役のコミュニケーションをとるのが5%セールスですので、相手に喋らせます。
相手に話をさせるために、褒め方にも工夫が見られました。
彼らは「さしすせそ」を使って同僚を褒めることが多いです。
「さすが」「知らなかったです」「素敵ですね」といった言葉で褒めていました。調査後に知ったのですが、キャバクラ嬢も同じように「サ行」を使ってお客を褒めるそうです。「さしすせそ」で褒めると相手が喜ぶのは、ビジネスでも夜のシーンでも同じなのでしょう。
また、5%セールスは、ディスカッションの際にも「サ行」を使います。職責が違う人やバックグラウンドが異なる人と仕事をしなくてはいけません。同じ価値観の人だけで仕事を進めていくのは無理です。意見が異なる人たちとすり合わせていくのが社内会議の目的だと、5%セールスは発言していました。
会議のなるべく前半に「さらに、こういうことができるんじゃないか」とか「そもそも、この課題は……」と、「さらに」と「そもそも」で議論を広げたり深めたりして、参加者たちの意見を引き出し、調整していこうとしていました。
そして最終的にアクションが決まるように、意見をすり合わせるのです。
95%セールスはダ行ではじまる「だけど」「でも」「ですが」「どうしても」を使い、5%セールスは「さしすせそ」で褒める。
「さらに」と「そもそも」を使って会議で議論を深め、周囲のメンバーをアクションに導く5%セールス。ちょっとした言葉の使い方で、相手の反応が大きく変わるものだと感心しました。
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