双子パンダが「親離れ」成長への新たなステップ レイレイが「後ろ歩き」、この行動の意味は?

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パンダの後ろ歩きといえば、筆者はドイツのベルリン動物園を2018年1月7日に訪れた際、雌のモンモン(夢夢)が室内で後ずさるように歩いているのを見た。モンモンは2017年6月24日に中国から来て、まだ半年ほど。当時は現地の報道で「後ろ歩きはストレスの証し」との見方が伝えられていた。

その後、モンモンは2019年8月31日に双子を生んだ。筆者が2020年2月9日に再訪すると、モンモンは双子をしっかり育てていた。

初めての場所で不安そうにした

双子は今年になって、小さな引っ越しを2回経験した。1回目は1月30日。双子とシンシンは「室内展示1号室」「屋外放飼場B」から「室内展示2、3号室」へ移り、「室内展示2、3号室」を使っていたリーリーが「室内展示1号室」へ移った。「屋外放飼場C」は引き続きリーリーが使う。

西園パンダ舎。現在は、双子が「屋外放飼場D」「室内展示3号室」、リーリーが「室内展示2号室」「屋外放飼場C」、シンシンが「室内展示1号室」「屋外放飼場B」を使用。双子の観覧エリアは3カ所に分かれ、1カ所の観覧時間は約1分(筆者撮影)

なぜパンダたちが移動したかというと、「屋外放飼場A、B」を改修して扉をつけることになり、改修中はそこが使えないため。「屋外放飼場A」と「屋外放飼場B」の間には、パンダが移動できる扉がなく、行き来するには室内を経由する必要があった。

繁殖期の同居など、さまざまな対応をするには、単純で安全な移動ルートの確保が望ましい。そこでパンダが出入りできるサイズ(約70~80×70~80cm)の扉を設置した。改修中に母子3頭を「室内展示3号室」へ移したのは、双子が親離れする前にシンシンと一緒に過ごして、慣れさせる目的もあった。

上野動物園によると、移動直後の双子は、普段よりも多くシンシンの近くで過ごしたり、双子で隣り合って休んだりと、不安そうにしていた。だが「子どもは順応性が高く、部屋も構造的にさほど大きな違いはないので、徐々に慣れてくると考えています」(大橋課長)という通り、その後は移動前と同様になった。4頭は2月27日に、もといた場所へ戻った。

改修中に親子で「室内展示3号室」で過ごした。左からレイレイ、シンシン、シャオシャオ。2023年2月7日(筆者撮影)

2回目の双子の引っ越しは、前述のとおり親離れ翌日の3月20日。双子は「室内展示3号室」「屋外放飼場D」へ移った。向かって左隣はリーリーで、その左のエリアにシンシンがいるので、双子はシンシンと離れている。母親のテリトリーから、あえて離しているのだ。

これは、和歌山県のアドベンチャーワールドで生まれた雌の楓浜(ふうひん)が2022年4月12日にひとり立ちした際も同様だった(参照:『和歌山のパンダ「ひとり立ち」と同時に引っ越す訳』)。

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