双子パンダが「親離れ」成長への新たなステップ レイレイが「後ろ歩き」、この行動の意味は?

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レイレイに噛みつくシャオシャオ。2023年3月22日(筆者撮影)

親離れしたシャオシャオとレイレイは、さらに成長への階段をのぼる。

1つ目はミルクの終了だ。シンシンと一緒にいた頃は、母乳と人工乳(参照:『世界初パンダ専用ミルク「日本」で開発の深い事情』)を飲んでいたが、親離れして人工乳だけになった。そして4月5日からは、人工乳を与えるのもやめた。ちなみに、アドベンチャーワールドで生まれた彩浜(さいひん)や楓浜の最後のミルクタイムは2歳の誕生日だった。

2つ目は、双子同士のお別れ。体が大きくなり、縄張り意識が出てきて、相手に傷を負わせる恐れが出るなどすれば、1頭で暮らすようになるだろう。すると、西園パンダ舎には「室内展示室」が3室しかないので、4頭とも室内にいれば、1頭が非公開になる。その場合は、時間帯によって、公開するパンダを変える可能性もある。

上野動物園はGWも開園

3つ目は間接飼育の始まりだ。間接飼育とは、人が動物と同じ空間に入らないで飼育すること。パンダは成長すると力が強くなり、牙や爪も鋭くなるので、直接飼育から間接飼育に変える。

2023年4月25日時点の体重は、リーリーの133.5kg、シンシンの123.2kgに対し、シャオシャオは54.4kg、レイレイは57.5kgだった。双子の体重は両親の半分以下とはいえ、成人女性の平均体重くらいある。

そう考えると、双子が別々に暮らす時期よりも前に、間接飼育になる可能性もある。現在、シャオシャオの体には、安全な動物用のマーカーで緑色のラインを付けている。夜間の録画映像や監視カメラの映像で明確に双子を識別するためだ。観覧者が双子を見分けるのにも役立っている。

飼育係によると、この緑色を付けるのは「ギリギリまでがんばる」そうなので、間接飼育になっても、シャオシャオのすきを見て、柵越しに付けられるかもしれない。

なお、レイレイの目の周りは、上野動物園にいた頃のシャンシャンと同じように少し白くなっている。同園は以前から検査をしているが、「虫がいるわけでもありませんし、明確な原因は分かっていません」(大橋課長)。

なお、レイレイの目の周りは、上野動物園にいた頃のシャンシャンと同じように少し白くなっている。同園は以前から検査をしているが、「虫がいるわけでもありませんし、明確な原因は分かっていません」(大橋課長)。

シャオシャオとレイレイは6月23日で2歳になる。あと2カ月足らずだ。上野動物園を所管する東京都によると、中国へ行く時期は未定とのことだが、いずれシャンシャンのように旅立ちの日を迎えるだろう。

上野動物園はゴールデンウィーク中も開園している。双子の観覧は、長い待ち時間になることが予想されるものの、双子が立派に成長して親離れした姿を見るのもおすすめだ。

中川 美帆 パンダジャーナリスト

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なかがわ みほ / Miho Nakagawa

福岡県生まれ、早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(11カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)

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