舞台裏の「制作過程を見せる」モノが売れる必然 注目される「プロセス・エコノミー」とは何か?

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新しいiPhoneなどが発売されると、いち早く手に入れたユーチューバーがアンボックス動画を投稿するのが恒例となっています。

アンボックスは、もともとガジェットのレビュアーが新商品のレビュー動画を作っていたところから派生したコンテンツだと思われます。特にアップル製品は外箱もスタイリッシュで美しかったので、外箱の様子から開封するまでのプロセスもレビューの一部として捉えられるようになったというわけです。

淡々と商品の特徴だけを紹介するのと違い、開封の過程を見せることで、視聴者は開封する瞬間のワクワク感を追体験し、その商品を買わない人までもが買ったような気分で盛り上がります。

このアンボックス動画などは、視聴者の共感度を高めるテクニックの一つであり、プロセス・エコノミー的な要素を感じます。アンボックス動画に限らず、何か商品やサービスを出す際には、どんどん制作過程を公開していくべきです。

特に個人で活動する場合、最初からうまくいくことなどありません。だから、完成品を待つのではなく、失敗の過程をコンテンツにしていけばよいのです。

「こんなものを作ろうと思ったんですけど、うまくいきませんでした」

そういった失敗の過程を臆せず公開し、エンターテインメントとして楽しんでもらえば、共感度は高まります。たとえ失敗しても「トータルで見れば面白い」「次は頑張ってほしい」といったポジティブな反応を引き出せれば、成功といえます。

「ナラティブ」を作る

「制作過程の公開」とともに、お伝えしたいのが「ナラティブを作る」です。ナラティブ(narrative)は「物語」「語り口」といった日本語に訳されます。映画やドラマなどで行なわれる「ナレーション」は、ナラティブと同じ語源の言葉です。

ナラティブとストーリーは、意味合いが異なるとされています。ストーリーは物語の内容や筋書きを表すのに対して、ナラティブは語り手が主体となって自由に語ることを意味します。

また、ストーリーが物語を一方的に語るのに対して、ナラティブは語り手と聞き手の対話を想定しています。

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