相次ぐ値上げで「管理費UP」マンション住民の悲鳴 さらなる「物価高騰」に備え今から対策が必要

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つまり、予算が不足した場合、マンションの区分所有者が負担割合に応じて負担しなければならない、というわけだ。

管理組合によっては、不足分を予備費で補うケースもある。しかしながら、そもそも予備費という費目を予算に含んでいない場合も少なくない。いずれにせよ、最初から「不足する」ことがわかっているのに、前年度ベースで考えるのには無理がある。

では、電気料金の高騰に備えた予算案はどのように考えておくべきだろうか。

共用部分にも目を向けることが必要

国際情勢の変化が大きい昨今、的確な判断は難しい。しかしながら、ある程度のアップを予測し、その分予算を確保しておくことが重要になってくる。

特に建物の内部に廊下がある内廊下を採用するタワーマンションなどは、照明など共用部の電気料金が大幅に上昇することを見込んでおく必要がある。予算を厚くするのはもちろん、その他の値上がりに備えて予備費も準備しておきたい。

電気料金など「値上がり」に応じた予算決めは大切だ。しかし予算を決めるだけにとどまらず、管理組合の財務体質改善に向けて踏み込んだ対策を練っておくことも必要だ。

例えばマンションの組合員・居住者の中で、共有部分のコストを意識している人はどのくらいいるだろうか。専有部分に関しては細かくチェックしていても、共用部分については知らないという場合も少なくないはずだ。共用部分にかかる月額の電気料金をマンション全体で共有し、それぞれがまずは必要なコストを認識することをおすすめする。

共有部に関するコスト意識が高まれば、照明器具の間引きなどを含め、節電の余地があるものをピックアップしていくことも可能になる。また現行電力会社の料金プランの見直しに取り組むのも有効な方法だ。自身のマンションにマッチした契約となっているのか、基本に立ち返って再考してもいいのではないだろうか。

この機会にマンション管理の将来に目を向けることも重要だ。現行徴収されている管理費・修繕積立金で今後も運営可能なのか。今後も健全な組合運営ができるのかということを、真摯にかつ冷静に見直してみる必要がある。先述の通り、赤字決算でも管理規約に抵触するわけではない。

ただし、赤字が明確に見通せるのに、そのままにしておくわけにはいかない。物価高騰は負の側面が強調されるが、ある意味で収支見直しのチャンスでもある。資産であるマンションを健全に運営していくためには、マンションの組合員・居住者皆での問題共有、検討が大きな意味を持ってくる。

長嶋 修 不動産コンサルタント(さくら事務所 会長)

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ながしま おさむ / Osamu Nagashima

1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立、現会長。以降、さまざまな活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築いた。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任している。主な著書に、『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)、『「マイホームの常識」にだまされるな!知らないと損する新常識80』(朝日新聞出版)、『これから3年不動産とどう付き合うか』(日本経済新聞出版社)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)など。さくら事務所公式HPはこちら
 

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