相次ぐ値上げで「管理費UP」マンション住民の悲鳴 さらなる「物価高騰」に備え今から対策が必要

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

マンションの管理組合の収支に最も大きな影響を与えているともいえる電気料金。高騰が続いて久しいが、実際のところどの程度値上がりしているのだろうか。

そもそも電気料金は、電気を使用した量のほか、燃料調整額によっても大きく変わってくる。燃料調整額とは、火力発電に用いる燃料である原油・LNG・石炭、おのおのの価格変動に応じて算出され、毎月変動するものだ。

毎月の電気料金(基本料金 + 電力量料金 + 再生可能エネルギー発電促進賦課金)のうちの電力量料金に含まれる。燃料価格の変動により、燃料調整額が加えられたり、差し引かれたりして調整されるしくみだ。

国際的なエネルギー需要の拡大やロシアによるウクライナ侵攻の影響、また急速な円安などによって燃料価格は高騰するばかりだ。それが燃料調整額にも反映され、電気料金も高騰の一途をたどっているのである。

東京電力の電気料金を例に挙げて見ていこう。昨年2022年(令和4年)1月の低圧供給、つまり一般家庭の燃料調整費単価(税込)は▲0.53円/kWhだった。燃料調整額が1kWh当たり53銭差し引きされたということを意味する。ちょうどロシアのウクライナへの侵攻がはじまる前のタイミングだ。

予算の確保が必要

ところが今年2023年の1月には、燃料調整費単価は12.99円/kWhへと大幅に上昇している。燃料調整費が10円上がることで、大規模マンション、特にタワーマンションなどでは1日当たりの電気料金が数万円レベルで違ってくるという試算も出ているほどである。

エネルギー価格高騰に終わりが見えない中、国は電気・ガス料金負担の激変緩和措置の実施を決定した。激変緩和措置とは、月々の請求金額から使用量に応じた値引きを行うもので、2023年2月分(1月使用分)より開始した。

これにより2023年4月の低圧供給の燃料調整費単価(税込)の10.25円/kWhが、緩和後に3.25円/kWhまで下がった。しかしながら、大手電力会社はすでに電力料金の値上げを国に申請しており、今後、どこかのタイミングで値上げする可能性は高い。

そのため、管理組合総会での予算案をどうするか考える必要がある。前年度ベースでの予算確保にとどまれば、不足することは疑いようのない事実だろう。

電気料金の高騰を視野に入れず、前年のままで予算を組めば会計は赤字となってしまう可能性が高い。もちろん、赤字発生は避けたいところだが、赤字決算に関する既定は管理規約に記載されていない。つまり、赤字決算でも管理規約には抵触するわけではないのだ。

標準管理規約 第61条2に以下のように記されている。

管理費等に不足を生じた場合には、管理規約に定める負担割合によりその都度必要な負担を求めることができる
次ページ管理費に不足が生じた場合には?
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事