スマホで「雑誌読み放題」人気はどこまで? ドコモ「dマガジン」に主要誌が大挙参加
システムなどの運用面はKADOKAWAグループで電子書籍ストアを手掛けるブックウォーカーに委託。ドコモは主に販促やコンテンツの開拓を担当し、小学館、集英社、講談社など大手から口説いて回った。実際、大手が参加しなければサービスはお蔵入りとなる可能性もあったという。結局、2014年6月には79誌をそろえてスタート。その後も交渉を続け、参加する出版社と雑誌の数を積み上げた。
最もこだわったのが、読み放題ならではの記事の見せ方だ。「芸能・エンタメ」「グルメ」「経済・ビジネス」といったジャンルごと、もしくは「いま旬グラビア&インタビュー」「ハワイ最新ガイド2015」などとテーマごとに記事をまとめたページを作った。
「女性誌を読まない男性も、弁当男子の特集は読むかもしれない。女性も男性向け雑誌の中でも最新iPhoneの使い方の記事は読みたいはず。思いがけない記事にたどり着く仕掛けが、継続して利用してもらうための勝負所になる」(那須氏)。
出版社も背に腹は替えられない?
過去の課金サービスの事例を基に、料金は500円を下回る400円に設定。サービス開始後はドコモショップ店頭の販促や無料キャンペーンを活用して猛プッシュ。順調に会員数を伸ばしていった。
プロジェクトが具体的に動き始めたのは2013年10月だが、構想はそれ以前からあった。dビデオやdヒッツに続くヒットサービスを狙うドコモにとって、雑誌はうってつけのコンテンツ。ただ、読み放題の定額サービスは実質的な値下げになるため、出版社の強い抵抗も予想されていた。
一方で、スマホやタブレット端末の性能は急激に進化し、ユーザーに広く使われるようになった。SNSやニュース閲覧、動画視聴といった「可処分時間の争奪戦」もスマホを舞台に行われるようになったが、紙の雑誌はそうした流れから外れていく。雑誌の売上規模は年々減少し、老舗誌も休刊に追い込まれる中で、出版社のコンテンツ配信に対する認識も徐々に軟化していった。
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