賃上げでも「離職が減らない」残念な会社の盲点 ハーバードで学ぶ従業員満足度を高める方法
新卒売り手市場、入社3年以内の離職率増加、中高年の転職等希望者大幅増というニュースが目立つようになり、ユニクロが賃金最大4割アップ、メガバンクが初任給大幅増など、給与を大幅に引き上げる企業が相次いでいます。給与アップは避けられない状況になっていますが、給料を上げて競争に勝つためにはどうしたらいいのでしょうか。今回のケースでも、「バリュースティック」を使うことで圧倒的なパフォーマンスを引き出すシンプルな戦略が見えてきます。ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の戦略コースの対話から生まれた話題の戦略書の日本語版『「価値」こそがすべて! 』を翻訳出版した神戸大学大学院の原田勉教授に、そのエッセンスについて語ってもらいました。
給料を上げて競争に勝つには
従業員の給料を上げて競争に勝つことはできるでしょうか。賃上げに踏み切れない企業はこのように考えているのではないでしょうか。
「競合が賃上げをせず、自社だけが賃上げをした場合、コスト的な優位性はなくなる」
「賃上げした分、価格を上げると売り上げが落ちる可能性がある」
しかし、給料を上げて競争に勝つことは決して不可能なことではありません。このことは、バリュースティックと呼ばれる図を理解すれば納得できるでしょう。戦略のすべてはこのバリュースティックに反映されることになります。
まず、顧客満足度または顧客歓喜とは、WTPと価格の差額のことです。WTPとはwillingness to payの略であり、顧客の「支払意思額」を指します。つまり、特定の製品・サービスを購入するのに、上限でどのくらいまで支出できるかを示すのがWTPになります。
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