カメラに顕微鏡まで手放したオリンパスの新章 見えてきた「医療で世界と渡り合う」ための道筋

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2019年11月に発表した経営計画で示された、2023年3月期の「営業利益率20%以上」という数値目標。医療への事業集中を進めつつ効率化を徹底したことにより、計画どおり達成できる見通しだ。この20%、実は世界的な医療メーカーの利益率と同じ水準だ。

「世界水準」にも満足せず

竹内氏が「世界的な医療機器メーカー」として名指しするのは、アメリカのジョンソン・エンド・ジョンソンや、アイルランドのメドトロニック。いずれも売上高は3.5兆円超と、オリンパスの約4倍の規模だ。これらの超巨大企業は利益率も高い。つまり、開発投資に回せる資金も桁違いに多い。

オリンパスの事業別売上高と利益率

技術革新のスピードが速い医療業界では、開発資金がものをいう。買収も必要になる。世界を舞台に戦うためには、高い利益を出しながらそれらを先行投資に充て続け、最先端を走り続けなければならない。オリンパスが内視鏡と周辺領域に特化すると決めたのもそのためだ。

利益率も目標としていた世界水準が近い。が、竹内氏は「社員の意識は医療の会社としてまだまだ不十分」と満足していない。「患者の安全に対する感覚がメディカルの会社の域に達していない。メディカルの会社の社員は、朝起きたら患者のことを考える。風土を変えることで利益も伸びる」と話す。

祖業の売却など会社の歴史に残る4年間を経て、医療専業、高利益率の会社に転身したオリンパス。新社長のカウフマン氏は、今後の成長の方向性について、内視鏡医療のさらなる普及拡大とAI(人工知能)診断などソフトウェア領域の強化に言及している。

医療の会社としての基盤を整えたオリンパスは真のグローバルメドテックカンパニーになることができるか。欧米の巨人がひしめく医療業界で、その舵取りに注目が集まる。

吉野 月華 東洋経済 記者

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よしの・つきか / Tsukika Yoshino

精密業界を担当。大学では地理学を専攻し、微地形について研究。大学院ではミャンマーに留学し、土地収用について研究。広島出身のさそり座。夕陽と星空が好き。

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