オリンパス、脱・カメラで狙う「医療の列強」の座 医療機器の世界大手を目指し、M&Aでも攻勢

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オリンパスはブランドの周知に貢献してきた映像事業から撤退する(撮影:ヒダキトモコ)

看板事業がついに終わりの時を迎える。オリンパスはデジタルカメラなどの映像事業を分社化し、2021年1月1日に投資ファンドの日本産業パートナーズに譲渡。これをもって、積年の課題とされてきた映像事業から撤退する。

映像事業は、オリンパスを名実ともに支えてきた。「PEN」シリーズなど小型のカメラで市場を開拓し、「オリンパス」ブランドを消費者に浸透させた。また、光学技術などカメラで培った技術は、内視鏡など同社の医療機器事業でも活用されている。

映像事業が抱える人材やノウハウも重要だった。世界でシェアを獲得している内視鏡と比べ、カメラの競争環境は過酷で、製品の開発サイクルも短い。オリンパスは映像事業の人材を他事業に移管するなどしてシナジーを生み出してきた。

「足を引っ張っているのが実態」

しかし、スマホの普及でカメラ市場は衰退。近年は2017年3月期を除いて営業赤字が続き、「全社の足を引っ張っているのが実態」(オリンパスの竹内康雄社長)だった。

2019年11月には、営業利益の95%を占め、長期的に市場の成長が期待される医療機器分野に経営資源を集中させることを表明。映像事業の見直しは不可欠だった。

映像事業を手離してでもオリンパスがかなえたいのは、海外の医療機器メーカーと肩を並べることだ。

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