シャープ、「マスク爆売れ」の先に見る医療進出

ICTを活用して「ソリューション」を提供する

シャープの戴正呉会長は医療分野のソリューションを手がける方針をかねてから示していた(写真:EPA=時事)

「シャープ史上最大のヒット商品はマスク」。今や多くのシャープ社員が自嘲気味に自慢するほど「シャープノマスク」はヒットしている。

シャープは新型コロナウイルスが全世界に拡大しだした2月に日本政府の要請に応え、マスク製造を発表。3月には生産を開始するスピードでマスク不足という社会問題に貢献した。9月現在でもシャープのマスク購入は抽選制。累計応募総数は約880万人に上り、100倍ほどの高倍率が続く。マスクというヘルスケア商品の人気の勢いそのままに、シャープは医療・福祉分野への本格参入をこのほどぶち上げた。

目指すのは「脱ハードウェア依存」

「シャープの技術とデバイスを利用して、医療や介護現場に貢献していく」。9月8日、シャープは大阪府堺市の本社でメディア向けの説明会を開催。津末陽一専務執行役員が医療・福祉分野に参入する理由や今後の方向性について熱く語った。

すでにシャープは「ヘルシオホットクック」などの調理家電を手がけ、その狙いの1つとして健康な食生活を支援する製品をあげている。また前日の9月7日には空気清浄機に搭載されている独自技術「プラズマクラスター」が、限られた実験条件下ではあるが新型コロナウイルス抑制効果があったと発表したばかり。「医療・福祉分野はまったくの飛び地ではない」(津末氏)という認識だ。

これまでの調理家電や空気清浄機は、いずれもシャープの事業としては家電などハードウェアが中心のスマートライフ事業が担っていた。それに対して、8日に説明を行った津末氏はスマホやパソコンなど通信関連事業を中心に手がけるICT(情報通信技術)事業のトップだ。

なぜ今後のシャープの医療・福祉分野をICT事業で担うのか。そこにはシャープの戦略が垣間見える。津末氏は「グーグルやアマゾン、アップルなどソフトウェア(中心のハイテク企業)が台頭しており、ハードウェアだけでは厳しいと感じている」と話す。ハードに加えてソリューションを強化した事業展開にシフトしようというわけだ。

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