シャープ、「マスク爆売れ」の先に見る医療進出 ICTを活用して「ソリューション」を提供する

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今回、進出を本格表明した医療分野で例示されたカラーマネジメントシステムや病院内の位置情報可視化などのサービスはまさにこうしたAIoTクラウドのプラットフォーム利用が前提となっているものが多い。

収益源は白モノ家電に集中

もっともシャープが目指す医療分野をめぐっては各社も将来の有望市場とみており、競争が激しい。遠隔診療ではオムロンなどの大手ヘルスケア企業のほか、スタートアップ企業も参入している。

また国内企業だけでもキヤノンや富士フイルムなど異業種のヘルスケア事業参入の例は多い。津末氏は「各社がハード中心で参入した過去と異なり、シャープはソリューションとして事業を行っていく」と違いを強調する。だが、他社もシャープが狙うソリューション領域に大挙して参入する可能性はつねにある。

シャープは2021年3月までに液晶パネルやカメラモジュールなど競争が激しい部品事業を分社化し、本体には白モノ家電などを残す方針だ。現在、利益の大半を稼いでいるのは白モノ家電を手がけるスマートライフ事業が中心で、次の新規事業の創出は待ったなしだ。その白モノ家電も単体売りが中心で、IoTを組み合わせた付加価値の高いビジネスモデルへの転換を模索している最中だ。

シャープの戴正呉会長兼最高経営責任者(CEO)は9月1日に公開したメッセージで「健康や医療、介護の分野における取り組みをより重点的に展開していく」と言及した。シャープは医療分野への本格参入で一気にハードとソフトを組み合わせた提案型企業への変貌を模索しているが、はたしてうまくいくか。今回の取り組みはシャープが今後生きる道を探るための試金石となりそうだ。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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