シャープ、「マスク爆売れ」の先に見る医療進出

ICTを活用して「ソリューション」を提供する

シャープが医療・福祉分野の事業発展のカギとするのは、これまで開発してきた自社のデバイスとその技術力を組み合わせることだ。代表的なものが「世界の亀山」ブランドで喧伝していた液晶パネルなどの高画質映像技術とスマホやPCで培った情報通信技術である。

8日の会見で例示した高速通信規格「5G」によるオンライン診療も単にリモート通信のソフトを開発、提供するというのではないという。「8Kを使ったツール、モニターをしっかり使う」(津末氏)と話し、シャープ独自の技術と製品があるから可能になるサービスであることを強調する。

通信やAI技術を駆使する

診察時には患者の顔色や患部の状況などを正確に把握する必要がある。ただ、オンライン診療ではモニターなど画面を通しての診察のため、顔色や患部の状態が表示されるディスプレイやカメラなど撮影機器の性能によっては正確に診断できない可能性もある。シャープは高画質である自社の8Kモニターやカメラを応用する。

得意の8Kディスプレイなどを医療など他分野への応用をすすめようとしている(写真:シャープ)

すでに一部の内視鏡メーカーに撮影する体内の状況を映し出すためのモニターに採用されるなど映像技術での実績を積み上げ始めている。またデバイスだけでなく、撮影した映像を正しい色に補正して伝送するカラーマネジメントシステムの開発もスタートし、通信やAI技術を駆使することもアピールする。

ほかにも病院内でスタッフ、患者、医療機器などの動きを可視化するために近距離無線通信「ブルートゥース」を利用した位置情報システム、配膳や薬剤運搬などを無人搬送車(AGV)で行うことなど、通信とデバイスを組み合わせた事業構想を次々に披露した。

もともとシャープは過去5年、IoTとAIを組み合わせた「AIoT」という造語をもとに成長戦略を示してきた。家電や機器、ロボットをIoT化してクラウドシステムにつなぎ連動させるサービスモデルを描き、2019年10月には関連するプラットフォームやクラウド事業を手がけるAIoTクラウドを分社化した。

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