オリンパス、脱・カメラで狙う「医療の列強」の座 医療機器の世界大手を目指し、M&Aでも攻勢
世界の医療機器市場の上位には、アイルランドのメドトロニック(売上高約3兆円、2020年4月期)やアメリカのジョンソン・エンド・ジョンソン(医療機器部門の売上高約2兆8000億円、2019年12月期)など、M&A(合併・買収)を繰り返し巨大化した欧米企業が並ぶ。
一方、オリンパスの2020年3月期の医療機器分野(内視鏡と治療機器事業の合計)の売上高は約6400億円にとどまる。
規模の大きな競合が居並ぶ業界で、オリンパスは変革を進める。目標は2023年3月期までに、10.4%(2020年3月期)の営業利益率を同業種平均の20%以上に引き上げることだ。「それくらいのキャッシュを生み出す力がないと継続的に投資していく環境に耐えられない」(竹内社長)。
消化器内視鏡では世界シェア70%超
改革の中核は内視鏡事業の強化だ。内視鏡は、消化管に病変があるかどうかの検査や、ポリープの切除などの治療に使われる。開腹手術に比べ、患者の負担が少ない低侵襲治療につながることから、普及が進んでいる。オリンパスにとって消化器内視鏡は、すでに70%超の世界シェアを持つ得意分野だ。
内視鏡事業の成長ドライバーとして期待されているのが、体内に挿入するビデオスコープと画像処理装置、モニターなどで構成される内視鏡システムの新機種だ。
2012年以来8年ぶりとなるモデルチェンジで、焦点範囲拡大などによって観察性能を向上させた。治療の質や検査効率の改善を医師に訴求し、内視鏡の更新需要の獲得を狙う。4月から欧米やアジアの一部、7月からは国内でも販売を開始した。
使い捨て内視鏡の開発も急ぐ。洗浄して繰り返し使う通常の内視鏡を比べ、1回で交換する使い捨て内視鏡は感染症対策にもなる点から需要が拡大している。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら