全国学力テストで浮上「学習データ」の活用問題 児童生徒や保護者から「許諾」を得ているか?

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GIGAスクール構想で整備されたタブレット端末
GIGAスクール構想で整備された、小中学校の高速インターネットと1人1台のタブレット。全国学力テストを機に活用が進みそうだ(撮影:尾形文繁)

子どもたちの学力状況を把握するために、文部科学省が小学6年生と中学3年生を対象に毎年行う「全国学力・学習状況調査」(以下、全国学力テスト)。2023年4月の全国学力テストでは、中学校英語「話すこと」がオンラインで実施される。2007年度の開始以来、学力調査をオンライン形式で行うのは初めてのことだ。

今回のテストには、文科省が整備する公的システムの「MEXCBT(メクビット)」を用いる。全国的なテストでの使用は初となる。メクビットには国や地方自治体の作成したテスト問題がコンテンツとして入っており、生徒はメクビット内でオンライン解答できる。自動採点機能もついている。

導入必須のシステムに懸念の声も

メクビットを利用するには、「学習eポータル」というシステムを経由してアクセスする必要がある。つまり、全国学力テストを受験するために、すべての中学校は学習eポータルを導入しなければならない。

今回のテストでは、文科省による実証用とは別に、民間企業8社の提供する学習eポータルが利用できる。民間企業の同ポータルは、メクビットへ接続できるだけでなく、教材会社などが提供するオンライン教材の窓口にもなる。児童生徒の解答内容や採点結果、学習履歴といった学習データの利活用もうたう。

【表】4月の全国学力テストで利用できる学習eポータル

ただ、学習データの利活用については、現場の教員から懸念の声が聞こえてくる。

「許諾に関する説明は受けておらず、生徒の学習データが悪用(教育以外の目的のための利用)されないという確証はない」

ある中学校の社会科教員は不安げに話す。現場が慎重になるのは無理もない。多くの学習eポータルが現状、学習データの保存や利用についての許諾を児童生徒から得ていないからだ。

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