全国学力テストで浮上｢学習データ｣の活用問題 児童生徒や保護者から｢許諾｣を得ているか？

使用する学習eポータルを選定するのは、公立学校だと各地域の教育委員会。選定に従う側の各学校や児童生徒には、データ利用についての拒否権が実質的にない。データが具体的に何に使用される可能性があるのか。児童生徒や保護者に説明しきれない中、板挟みになって悩むのは現場の教員だ。

一方、学習eポータルを提供する企業の中にも慎重な姿勢を取るところがある。

すべての子どもが参加する前提の全国学力テストを学習eポータル経由で行うならば、個人情報を適切に管理しなければならない――。

文科省にそのような問題提起を継続的に行ってきたのがコニカミノルタだ。複合機大手であるが、ITサービス事業の一環で学習eポータルも手がける。

コニカミノルタは削除にも対応

「子どもや保護者にはデータのすべての使用用途について理解してもらう必要がある」というのが、同社のスタンス。2022年11月、許諾に基づかないデータ使用をいっさい行わない方針を明らかにした。個人からの学習データの削除依頼に対応することも明言している。

教育老舗の内田洋行、システム大手のNTTコミュニケーションズなども学習eポータルを提供する。データの活用は、個人を特定できない形態に加工したうえで行うとしている企業はあるが、コニカミノルタほどに踏み込んだ対応は珍しい。