「毎日10-20km走る」アイドルの凄すぎる肉体作り 「月40本以上のライブをこなす」彩瀬千聖の日常

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これだけ走り込んでいればマラソン大会に出場していい記録を残せそうだが、怪我をしないために大会には出ない方針としているそうだ。

たしかに、日々のランニングから大会出場や記録を残すためのトレーニングに切り替わると、無理をする場面も増え、怪我のリスクは上がるものだ。

「あくまでも楽しく走る」という範囲でのランニングにこそ、継続できる秘訣があるのだろう。

自然の音を大切にしながら、イヤホンなどはかけずに走っている(撮影:冠野亮太)

「損得勘定」では測れない世界

それにしても毎日のランニングを中心とした日々のトレーニング食事制限ステージでは歌って踊り、特典会ではファンとの交流

果たしてライブアイドルはここまでやらなければならないのだろうか。単純にその努力や費やす時間を人気や収益に落とし込むと、割に合わないのではと常々思う。

それでも彩瀬はアイドルであることに誇りを持っている

「正直、最初はアイドルになることをそんなに難しく考えてなかったです。でも今は、ファンの方が楽しんでくれるのが本当に嬉しくて、『喜んでもらえるために日々ライブに出ている』って感じですね」

これはどのアイドルにも共通することだが、ファンのために全力を尽くす。仮にそれが一般的には見合わない事柄かもしれなくても、それ以上に自らアイドルであることに誇りを持っている

アイドルになって、ほんとよかったって思います! もちろんツラいこともありますけど、みんなに『希望』を持ってもらえて楽しんでもらえるのがアイドルなんです」

「割に合う、合わない」という損得勘定ではない世界が、そこには確実に存在する。それが彩瀬たちのようなライブアイドルがつくり上げる世界であり、ファンはその価値観を共有する。

もちろんアイドルとしての日々の努力が、目に見える形で報われるかどうかはわからない。

「それでもアイドルは、『勇気』や『希望』を持ってもらえることができる素敵な仕事なので」

ファンのため、そして、アイドルとしての自らの存在価値を高めるために、彩瀬は今日も走りつづけている。

たくさんのファンに惜しまれる存在になるまで、アイドルは決して辞めないと決意している(撮影:冠野亮太)

*この記事の前編:「武道館は目指さない」"11年目アイドル"驚く挑戦

 
松原 大輔 編集者・ライター

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まつばら・だいすけ / Daisuke Matsubara

富山県出身。編集者・ライター・YouTubeプロデューサー。中央大学法学部卒。在学中より故・永谷修氏に師事。大学卒業後、講談社生活文化局にて編集見習いとなる。その後、文藝春秋『Sports Graphic Number』編集部などで編集者・記者を経て、2018年に独立。書籍の企画、編集や執筆活動、YouTubeの動画制作・プロデュース、アーティストマネジメントなどを行っている。

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