これだけ走り込んでいればマラソン大会に出場していい記録を残せそうだが、怪我をしないために大会には出ない方針としているそうだ。
たしかに、日々のランニングから大会出場や記録を残すためのトレーニングに切り替わると、無理をする場面も増え、怪我のリスクは上がるものだ。
「あくまでも楽しく走る」という範囲でのランニングにこそ、継続できる秘訣があるのだろう。
「損得勘定」では測れない世界
それにしても毎日のランニングを中心とした日々のトレーニングに食事制限。ステージでは歌って踊り、特典会ではファンとの交流。
果たしてライブアイドルはここまでやらなければならないのだろうか。単純にその努力や費やす時間を人気や収益に落とし込むと、割に合わないのではと常々思う。
それでも彩瀬はアイドルであることに誇りを持っている。
「正直、最初はアイドルになることをそんなに難しく考えてなかったです。でも今は、ファンの方が楽しんでくれるのが本当に嬉しくて、『喜んでもらえるために日々ライブに出ている』って感じですね」
これはどのアイドルにも共通することだが、ファンのために全力を尽くす。仮にそれが一般的には見合わない事柄かもしれなくても、それ以上に自らアイドルであることに誇りを持っている。
「アイドルになって、ほんとよかったって思います! もちろんツラいこともありますけど、みんなに『希望』を持ってもらえて楽しんでもらえるのがアイドルなんです」
「割に合う、合わない」という損得勘定ではない世界が、そこには確実に存在する。それが彩瀬たちのようなライブアイドルがつくり上げる世界であり、ファンはその価値観を共有する。
もちろんアイドルとしての日々の努力が、目に見える形で報われるかどうかはわからない。
「それでもアイドルは、『勇気』や『希望』を持ってもらえることができる素敵な仕事なので」
ファンのため、そして、アイドルとしての自らの存在価値を高めるために、彩瀬は今日も走りつづけている。
*この記事の前編:「武道館は目指さない」"11年目アイドル"驚く挑戦
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