「読書が人生変えた男性」のサクセスストーリー 誰も味方がいないのなら本を味方にすればいい

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彼は少年時代に、養父母から不条理な扱いを受けてきました。あまり詳しくはいえないのですが、Sさんは、学校での彼の成績が抜群だったために、それに嫉妬した養父母の実子から、ある事件の濡れ衣を着せられてしまったということがありました。その結果、彼は、風紀も良くなく、あまり教育熱心でない学校に転校させられてしまいます。

養父母の権威を恐れた学校側は、Sさんのために何一つ手を打つことができない有様でした。Sさんは、静かに学校を去っていきました……。

しかし、Sさんが学校を後にするとき、彼の才能を認めていた一人の教師が、こんなことを言ったそうです。

「これから君は、いい教師に恵まれる可能性は少ないだろう。一人で悩みを抱えながら過ごすことになるかもしれない。しかし、誰にも教えてもらうことができなくても、世界には多くの本がある。これからは本が、君の先生だよ。どの科目を学ぶのかも、どの先生に教えてもらうのかも、君の自由だ」

それを聞いて、Sさんは胸が熱くなったそうです。誰も味方がいないのであれば、まず本を味方にして、自分に力をつけていこう。そう思ったそうです。恵まれた環境がないなら、自分で環境を作らなければならない。そのために本から学べることを学びきろうと、彼は図書館に通い詰めました。

生きる指針も友となる人物も本の中では必ず出会える

今、ミラノとエルサレムにあるSさんの家は、蔵書でいっぱいです。「正確な冊数はもうわからなくなってしまったけど、数万冊はあるだろうね」と彼は言います。

もちろん学者ですから、学術書もたくさんあってもおかしくありません。とはいっても、この蔵書の多さにはやはり少年時代の経験が大きく影響していると考えるのが自然でしょう。

本から得た哲学を芯として自分の人格を作り上げ、本の中の登場人物を友として、これらを糧にしながら、彼は必死で、前向きに生きるコツをつかんできたのでしょう。苦しい時代だったでしょうが、そうした習慣を身につけられたことは、彼にとって、素晴らしい財産になったのではないかと思います。

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