年商85億、大谷翔平が「広告露出」でも見せた才能 コーセー「コスメデコルテ」に見た凄み

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エアウィーヴを自然にPRしてきたフィギュアスケーターの浅田真央さん(画像:PR TIMES)

アスリートを起用している事例では、フィギュアスケーターの浅田真央さんをブランドアンバサダーとして起用した、エアウィーヴの事例が挙げられる。

浅田真央さんは実際に同社のマットレスを愛用してきたユーザーであり、広告だけでなく、公式サイトや動画など、幅広い媒体で商品の魅力を紹介してきた。

WBCの真っ最中に自然に露出する絶妙さ

今回の大谷選手の事例は手法として新しいものではない。しかしながら、複数のブランドで、大規模な広告出稿を伴う形で、しかもWBCという国民的大イベントの真っ最中にPR、プロモーションの「仕込み」が行われている点、それがメディアやSNSで大きく話題になり、購買喚起までしっかりと結び付けられ、「売り上げ」という結果にも結び付いていることが挙げられる。

男性向けのコスメ市場は成長途上であり、男性タレントの広告起用もいくつか見られるが、(芸能人でなく)アスリートが起用され、かつここまで大規模で展開されるのは珍しく、男性用コスメ市場の拡大という点でも興味深い動向と言える。

WBCの最中の日本の快進撃の盛り上がりの中で、「さりげなく」商品の情報を投入することによって自然な形でポジティブな話題を広げ、広告展開によって購買喚起を行っていくやり方は、非常に効果の高いやり方であったと言える。こうした手法は、今後さらに浸透していくことは間違いない。

ただし、今回大きな効果を上げることができたのは、大谷選手だったからという点も忘れてはならないだろう。

圧倒的な実力を示しているのみならず、広告に起用してもビジュアル面で「映える」存在であり、スキャンダルもなく、広告以外の場所での商品の紹介もうまく対応してくれる――。グラウンドとグラウンド外での両方で活躍できる大谷選手は、まさに「二刀流」にふさわしい稀有な存在と言える。

かつて広告業界におり、現在は広告に関する教育、研究を行っている著者にとっては、メジャーでの活躍に加えて、スポンサーシップにおいて、大谷選手が今後どのような展開を見せてくるのか、実に楽しみである。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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