年商85億、大谷翔平が「広告露出」でも見せた才能 コーセー「コスメデコルテ」に見た凄み
ウェブCMにおいても、大谷選手の投打の両方で達成している高い「精度」と重ねることで、商品の「高精度」を効果的に訴求することができている。
コーセーとセイコーに共通するのは、大谷選手を起用して、大谷選手の才能、あるいは生き方、考え方とブランドの世界観をマッチさせた広告を展開することにとどまらず、その手前の段階でSNSや報道を通じて、話題づくりを行っているところにある。
このような展開をするのには、必然性がある。
「広告」が受け入れられづらい時代に
広告を効果的に浸透させるためには、事前の「話題づくり」が重要だというのは、経験則として広く知られている。企業や商品に対するポジティブなイメージ、あるいは当該カテゴリーが流行っているというトレンド感が事前に醸成されていると、より広告効果が高まり、商品がより売れやすくなる――というのは、自然と理解できることだ。
特に、近年はSNSの普及によって、生活者同士の口コミが売り上げに影響を及ぼすようになっているし、特に若者層では、広告よりも、生活者、あるいはインフルエンサーからの情報発信のほうが信頼されやすくもなっている。
広告のほうに目を移すと、日本では芸能人やアスリートなどの著名人を起用した広告が多い。効果が高いからこそ著名人が起用されているが、「実際に商品を使っているかどうかわからない人が宣伝をしている」という、違和感を抱く人が最近増えているのも事実である。
筆者は仕事柄、大学生と話をすることが多いが、そこでテレビCMを中心とするマス広告に対して、「わざとらしい」「押しつけがましい」という声を聞くことは多い。彼らは、動画共有サイトやSNSで日常的に情報収集しているし、広告に関してもネット上の細かくターゲティングされた広告に接しており、「広く」「薄く」伝えるマス広告に対する受容性は概して低い。
一方で、企業起点でSNSや報道で「話題づくり」をすることは、そう容易ではない。生活者は特別好きな商品でもない限り、自発的に口コミを広げてくれたりはしないし、インフルエンサーを起用するにしても、やり方を間違えると「ステマ」と批判される。メディアにしても、企業側が伝えたいと思うことを自主的に報道してくれることはほとんどない。
大谷選手はグラウンド外でもスーパースターだった
そうした状況下で展開され効果を上げているのが、前半に紹介したような大谷選手の事例である。
もちろん著名人を起用して、広告以外のところでも話題づくりを行っていく取り組みは、今に始まったことではない。
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