次の決算で好業績を出すのが濃厚と見られている企業があるとしましょう。利益が上がるので、本来株価にはプラス材料のはずです。しかし、これが織り込まれていた場合、好業績が発表される決算時ではなくその前から株価は上がり出します。「この会社の株は上がるだろう」という思惑です。
そして、いざ好決算が発表されたときには「知っていた」「これよりも、上がり目のない」材料のため、サプライズなく売られるのです。
好決算だった企業の株価が急落するからくり
投資の世界では「噂で買って事実で売る(Buy the rumor, sell the fact)」という格言があり、材料の良しあしと現実の株価が逆に動くことがたびたびあります。
例えばゲオホールディングス。映像レンタル店を軸に、ゲーム・スマホ、衣料品の中古品販売にも力を入れています。業績は横ばいか微増を続けていました。2022年11月11日の第2四半期決算では赤字見通しでしたが、19%増益に上方修正し好決算を出しています。値上げや品薄などの影響で中古品市場が活況だったのが原因です。
しかし下の図のとおり、翌日から株価は急落。好決算にもかかわらず、11月16日までのたった3営業日で19.4%も下落しました。
もう少しチャートを長く見ると2022年の6月から株価をジリジリと上げ始め、11月11日の決算時にはすでに2倍近くになっていました。相次いだ値上げを受け、中古品市場に目を付けた投資家があらかじめ買っていたのです。
しかし、物価高にも陰りが見え始め、また好決算が出たことが引き金となって利益確定の売りを誘発したと見られます。ただ、その後は再び反転上昇し12月に高値を付けています。
出尽くしで下落したとしてもそれが継続的なものか? 一時的なものなのか? それを考える癖をつけましょう。
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