行動とその時の感情を一緒にすることは、マインドフルネスと同じ状態ですね。
マインドフルネスや禅は、掃除をすること、料理を作ること、それを味わうことに常にすべてを集中しなさいという教えです。仏教的な思想というのは、そういうことをよくわかっていたわけですね。
チャッターという言葉は、今注目されているものですが、現代風に捉え直したもので、むかしから多くの人の頭の中で起きていたことなのだと思います。
ただ、むかしは、体を動かしていなければ、シビアな状況になりやすかったわけです。田畑を耕して、狩りに出て、その日食べるものを採ってこなければ死んでしまうのですから、頭がお暇になっている余裕もなかったんですね。
野生動物も、獲物を追うか逃げるかという瀬戸際で生きていますから、頭がお暇になっている場合ではありません。そういう意味で、チャッターは、余裕がある社会生活の産物でもあると言えるでしょう。
ムダに頭を働かされている現代人
現代人は、ムダに頭を働かされている状態です。逆の言い方をすれば、社会生活の中では、身体は危機的状況に置かれないということです。
家の中にいて、突然、獣に自分が食べられてしまうということはありません。冷蔵庫を開ければ食べ物がありますから、寝転がってスマホを見ていて餓死するという状況にもなりません。
人間関係で悩むのも、ムダに頭を働かされていることが原因ですね。僕は、好きな人のことだけを考えて、変な人のことなんて忘れればいいじゃないかとずっと言っていますが、それができないのは、頭がお暇になって他のことを気にしてしまうからでしょう。
家庭内暴力や、離れられない関係性で深刻な状況に陥ってしまっている方などもいらっしゃいますが、基本的には、人間なんて1つの大事な関係があればそれで十分ですし、他のことなんてどうでもいいじゃないかと思うのです。
『チャッター』は、悩みの多い人、いろいろ考えてしまうタイプの人、誰が読んでも役に立つ一冊です。医療従事者にとっても面白く読めて、役立つ本ですし、特に、メンタル的なケアをする可能性のある立場の人にはお薦めです。
(構成:泉美木蘭)
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