配信大手の本気で変わる「スポーツライブ」中継 資金力で圧倒、那須川天心ボクシングデビューも
資金力のある配信メディアがスポーツのライブ配信に本格的に乗り出したことで、ジャンルも広がりつつある。日本ではAmazonプライム・ビデオが2022年4月に村田諒太×ゲンナジー・ゴロフキンのWBAスーパー・IBF世界ミドル級王座統一戦を皮切りに、同年6月には井上尚弥×ノニト・ドネアのWBA・IBF・WBC世界バンタム級王座統一戦など、ボクシング世界チャンピオン同士の王座統一戦の独占ライブを連打している。
2023年4月8日には那須川天心選手のデビュー戦らを扱ったボクシングライブ第4弾を放送した。またAmazonは「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC(WBC)」における野球日本代表「侍ジャパン」全試合のライブ配信も行ったところだ。スポーツライブがAmazonプライム・ビデオの重要コンテンツになりつつあることを物語る。Amazonプライム・ビデオのジャパンカントリーマネージャーである児玉隆志氏が「新規顧客獲得の戦略的柱に、スポーツのライブ配信がある」と話す通り、その位置づけは明確である。
好カード争奪戦が激化
海外では動画配信メディアによる好カード争奪戦がより激しさを増している。Googleのユーチューブが、米プロフットボールリーグ・NFLのサンデー・チケット(日曜午後のほぼ全試合を視聴できる定額制パッケージ)の権利を獲得したことが報じられ、その額は7年間契約で140億ドル(約1兆8200億円)にも上る。同放送権を従来保持していた有料テレビ局DirecTVからユーチューブへとサンデー・チケットの本拠が移り変わることは、最先端を行くアメリカのメディア業界にとってもエポックメイキングなことなのである。
世界最大手の市場調査機関デロイトグループは「スポーツ配信はストリーミング戦争の次の主戦場になる」と指摘する。デロイトによれば、2023年にストリーミング配信事業者がメジャースポーツの独占配信権取得に費やす投資額は60億ドル(約7800億円)以上を見込む。
なかでも「米AmazonのNFL」「インドViacomのインディアン・プレミアリーグ(IPL、プロクリケット)」「北欧Viaplayの英プレミアリーグ」「米Apple TV+のメジャーリーグサッカー(MLS)」「DAZNのイタリアのセリエAとスペインのラ・リーガ」の5つは、高額投資が予想される注目案件という。スポーツコンテンツの取得に以前から積極的なAmazonやスポーツ専門のDAZNだけでなく、ViacomやApple TV+も手を出し、そしてローカルメディアのViaplayも並ぶ顔ぶれからは、動画配信メディアがスポーツのライブ配信を重要視し始めたことがわかる。
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