配信大手の本気で変わる「スポーツライブ」中継 資金力で圧倒、那須川天心ボクシングデビューも
クリス・ロックはエンターテインメント界最高峰であるエミー賞とグラミー賞を受賞するコメディアンの一人である。Netflixではクリス・ロックのスタンダップ特別版として過去にもオリジナル番組を配信しており、今回はそれに続く第2弾プロジェクトになるが、最大の売り文句があった。
2022年のアカデミー賞授賞式の舞台で俳優のウィル・スミスから平手打ちを受けた騒動から1年、その真相をクリス・ロック本人が明かすスタンダップショーとして「クリス・ロックの勝手に激オコ」(原題「Selective Outrage」)が企画された。
ゴシップネタだが、日本でも賛否両論が渦巻いたほど話題性はきわめて高い。Netflixが世界規模のライブストリーミングを初めて試みるエンターテインメント企画で、これ以上のものはないと言い切れるほどだ。あの騒動後まもなくしてNetflixのスタンダップ番組チームが動き、クリス・ロックにオファーしたそうだ。
このライブストリーミングは実験的な試みとも言え、英語圏以外のNetflixユーザーはリアルタイムで視聴するにはプロフィールの言語をわざわざ英語に変える必要があった。当日は字幕表示も選択できるのは英語のみで、全言語に対応したコンテンツではなかった。
『ニューヨーク・タイムズ』など各紙・誌で高評価
一方、演出は今年のアカデミー賞授賞式に向けた前哨戦のような華やかさにこだわった。メインのスタンドアップショーの前には30分間の「The Show Before The Show」が編成され、仲間のコメディアンをはじめポール・マッカートニーやマシュー・マコノヒーといった豪華な顔ぶれのクリス・ロックの友人たちが特別メッセージを届けていった。
さらに本編終了後にも「The Show After The Show」を投入、プロバスケットボールの伝説的選手カリーム・アブドゥル=ジャバーら特別ゲストが出演してお祭り騒ぎが続いた。
肝心の本編は、1時間にわたりクリス・ロックが高度な話術を披露し、スタンダップショーのライブを疑似体験できるものだった。イギリス王室を離脱したメーガン妃をはじめとする旬なセレブリティを挙げながら、得意の人種差別を皮肉る笑いで場を温め、ラスト10分間でウィル・スミスのネタを集約させてオチをつけていった。
平手打ち騒動以上の衝撃はなかったものの、『ニューヨーク・タイムズ』など各紙・誌で高評価を集め、成功と言えるものだったのではないか。なおライブ配信後の現在、本編のみ配信され、日本語を字幕選択して視聴することができる。
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