元Jリーガーも呼ぶ「公立中」の不登校支援の現場 IT会社「サイボウズ」のオフィス見学も行った
この日のサッカー教室も、普段の生活で運動する機会が少ない「和みルーム」の生徒たちの課題を解決するために企画されたもので、この日が4回目。今年度最終回だったため、スペシャルゲストとして現在横浜F・マリノスアンバサダーを務める波戸氏が来校したのだ。
サッカー教室終了後には、波戸氏による講話も
波戸氏は、小学1年からサッカーを始め、ワールドカップのマラドーナの得点シーンをみて、「自分もプロのサッカー選手になりたい」と思ったこと、高校卒業してすぐにプロデビュー、日本代表まで上りつめたが、実は中学時代にいじめを受けて誰にも言えない苦悩を抱えていたこと、それをどう克服していったのか、実体験を披露。
「たとえ結果が出なくても努力は成長を約束してくれる」というメッセージを生徒たちは真剣な眼差しで聞いていた。
このサッカー教室を企画し、この日も様子を見守っていたF・マリノススポーツクラブの域連携本部の芝崎啓氏はこう語る。
「もともと私たちはプロサッカークラブとして、スポーツが持つ力を信じて地域社会の課題を解決してくことも大きなミッションだと思っています。
ですから、このように地域の子どもたちに役に立つ企画なら積極的にやっていきたいと考えているんです。学校との関わりだけでなく、老若男女、障害の有無問わず、誰でも気軽にスポーツを楽しめる環境づくりを目指しています。
波戸アンバサダーはマリノスの活動のみならず、JFA(日本サッカー協会)の“夢先生”として全国で講話を行っています。一流選手のリアルな体験は、感受性豊かな時期の子どもたちに、少なからず心に響いているのではと思っています」
このサッカー教室は、同校の体育教師が前任校でたまたま横浜F・マリノスのホームタウン担当と知り合いになったことから話が進んだという。
「和みルームの生徒たちは特に、外部の人と関わる機会を作ることを心掛けています。ですから、先生たちの個人的なつながりの中でいろいろな話がくることも大いに歓迎しています」(長島校長)
それを実証するかのように、翌週の2月22日には和みルームの生徒たちは東京のオフィス街、日本橋にいた。この日は、日本橋に本社があるIT会社のサイボウズ(青野慶久社長)の会社見学だったのだ。
「100人いれば100通りの働き方がある」を掲げ、多様な働き方を推進していることで有名なサイボウズのオフィスは、日本橋の高層オフィスタワーの上階にあり、内部の様子も普通の会社と一味も二味も違っていた。
オフィスの入り口には「サイボウズ樹」と名付けられた樹の周りに大きなぬいぐるみの動物が多数置かれ、まるで公園のよう。通常のデスクや会議スペースのほかに、カフェやバーがあったり、ハンモックが吊ってあったり。そのような中、思い思いの場所でパソコンを広げて仕事をする社員たち。初めて見る景色に生徒たちは目を丸くしていた。
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