「音楽の振り幅」「国境超え」坂本龍一の真の凄み 音楽・芸能界以外にも広く影響を及ぼした

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3月28日に亡くなった坂本龍一氏。その影響は日本の音楽業界以外にも及んだ(写真:Splash/アフロ)

3月28日に坂本龍一が亡くなったことが4月2日に公表された。享年71。この10年ほどはがん闘病がたびたび伝えられていたので、とうとうこの日が来てしまったのかと感じている人が多いだろう。

「終わり」を意識しての活動

2020年6月に大きな手術を受けたことを2021年1月に発表、以降の彼の動向は「闘病中の」と前につく形で伝えられることが多くなった。2020年の末に自らに残された時間を悟ったというコメントを残しているので、そこからの2年半弱は強く「終わり」を意識して活動をしたということになるだろう。

2021年3月10日から2022年4月4日の間に録音された12曲を収めたアルバム『12』は、今年の1月17日=彼の誕生日に発売された。曲全体の雰囲気が「じゅうに」と声に出して言っている感じだからと語ったそうだ。実際に声に出してみると「自由に」とかけたと想像できる。

文芸誌『新潮』に昨年の初夏から年明けにかけて8回にわたり連載された自伝(聞き手は鈴木正文)の題名は「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」だった。昨年末には配信でのピアノ・ソロ・コンサートを開催(収録は9月)。何曲も弾き続ける体力がないので数曲ずつ演奏したことも配信前から明かしていた。

こうして彼はその覚悟を公言し、体力の衰えも隠さなかった。覚悟せよと言っていたのだと思うが、覚悟ができたとしても心の準備なんてできないものだ。筆者は運良くこの依頼が来たおかげで、なんとか冷静さを保っている状態といえる。

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