塾なしで「開成合格」何ともスゴい"家族の教え" 「習いごとは絶対に直前まで続けたほうがいい」

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「例えば高齢の方は、歩けなくなったら弱っていくし、大人も座っているだけだと病気になる。絶対、脳には運動がいいと思う。受験直前に3カ月だけ、算数だけでいいから塾に行きたいと言われて、ピアノと空手は休んだんですよ。でも、運動は絶対に必要だと思って、水泳だけは続けた。空手を休んだ分、塾に行くときは走って運動量を確保していました」(お母さん)

また、目を休めるために、毎日公園に行って、バトミントンやフリスビーなど遠くや近くを交互に見て目を動かしつつ運動量のある遊びをしていたという。

ぎん太家の話を聞くと、今首都圏で繰り広げられている中学受験とは別世界のように感じられる。

「長男だったから中学受験の知識もなかったし、塾に行ってなかったので『クラス落ちた、どうしよう』とかそういう雑念が全然なかった。逆に、塾に行っていたら受からなかったと思う」と親子で口をそろえる。

ぎん太くんから見た今の中学受験

マイペースで中学受験に臨んだぎん太くんには、今の中学受験はどのように見えているのだろうか?

「手段が目的になってしまっているなと思って。自分に合っているとか、自分がこういう勉強がしたいとか、自分と同じレベルの人間で構成されている教室で授業を受けるというのが本当の目的だと思うんです。

それで自分のレベルに合った教育を受けられるのがいちばんいいはずなのに、いい学校に入ることが目標になってしまっている。とくに、大人でそう思っている人が多いなと感じます」

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お母さんも「入りたい部活があるとか、制服がいいとかいろいろあると思うんですけど、やっぱり学校は勉強をしにいくところ。本人の実力に合うところに行くのが、いちばん幸せだと思う。重課金して、実力以上の学校に行っても、全然わからない授業を受けてもつまらないし、みんなの倍努力して6年間過ごすのはつらいと思う」

本来、学ぶことは楽しいこと。血のにじむような中学受験を乗り越えたのに、合わなくて退学したり、難関校に入学しても成績が低迷し“深海魚”になってしまう場合もある。

中学受験はよく「親子の受験」と言われる。塾に行かずに中学受験するのはなかなかまねができるものではないが、中学受験のレールに乗ったとしても、その中でわが子らしい中学受験のスタイルを見つけたい。

吉田 理栄子 ライター/エディター

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よしだ りえこ / Rieko Yoshida

1975年生まれ。徳島県出身。早稲田大学第一文学部卒業後、旅行系出版社などを経て、情報誌編集長就任。産後半年で復職するも、ワークライフバランスに悩み、1年半の試行錯誤の末、2015年秋からフリーランスに転身。一般社団法人美人化計画理事。女性の健康、生き方、働き方などを中心に執筆中。

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