ミニストップに学ぶ「震災対応」と「商売」の両立とは?《それゆけ!カナモリさん》

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■ジャストインタイムだけが正解ではない?

 「ミニストップ/店内調理のおにぎり・惣菜を200店舗に拡大」(ロジスティクス・パートナー社・流通ニュース/ 2010年09月15日)の記事によると、『2009年9月から、東京都内の既存店舗(約40店)において店内で調理した手作り「おにぎり」・「惣菜」の実験販売を行ってきた。今回、実験店の結果を受け、店舗オペレーションの効率化を図るとともに、販売の堅調な「おにぎり」と一部「惣菜」の取り扱い店舗を拡大することを決めた』とある。

さらに2011年2月16日付日経MJの記事「ミニストップ、手作りおにぎり2000店で、13年度めど、ほぼ全店に拡大。」によると、「店内で調理するおにぎりの販売を2013年度までにほぼ全店に広げる」予定で、『現在は「北海道焼鮭」「明太子」「高菜明太」など約10品目あり、中心価格は158円と通常より20~30円程度高め。それでも「購入客の反応は非常によく、これまでコンビニで買い物をしてこなかった女性層の来店動機にもなっている」(阿部信行社長)』という。

ミニストップは1980年にイオン(当時ジャスコ)によって設立。現在業界第5位、全国約2000店舗を有している。しかし、セブン-イレブンは1973年設立。前出のセイコーマートはさらに早く1971年に第1号店をオープンさせているのに比べると、業界後発である。

後発故に、何らかの差別化ポイントが必要で、そのためにオープン当初から準備されていたのが「店内調理の充実」である。ファストフードメニューを取りそろえ、店内で調理して、それを食べるためのイートインコーナーを備えているのが最大の特徴だ。店頭でソフトクリームを食べたことのある人も多いのではないか。

店内調理は差別化できるだけでなく、収益貢献も高い。「商品仕入れ」→「在庫」→「販売」というコンビニエンスストアのバリューチェーンを、「原材料・半製品仕入れ」→「在庫」→「加工(調理)」→「販売」という、店内で加工度を上げる=付加価値を増す過程を持っているのだ。加工は店内スタッフが他業務と兼務する。人件費効率も高くなる。

ミニストップの創業以来の差別化ポイントと、さらに昨年9月からの「手作りおにぎり」強化という下地があってこそ、今回の「震災品薄対応」が可能となっているのである。

 

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