ミニストップに学ぶ「震災対応」と「商売」の両立とは?《それゆけ!カナモリさん》

 では、競合、例えば全国に約13000店舗を持つ業界第1位のセブン-イレブンが同様な施策を展開しようとすればできるのか。恐らく、それは「できない」だろう。そこが、ミニストップにとっては「震災対応」として社会・顧客に貢献しつつ、競合優位を築けているポイントなのだ。

セブン-イレブンの力の源泉の1つは、「サプライチェーンマネジメント(SCM)」の精緻さだ。自社のバリューチェーンに他社のバリューチェーンをつなげば、業界に拡大したサプライチェーンを描くことができる。サプライチェーンの中で、自社のバリューチェーンをできるだけ軽くして、高効率な「ジャストインタイム」を実現してきたのがセブン-イレブンだ。ある意味、ミニストップとは正反対の姿である。セブン-イレブンでも店内調理は行っているが、ミニストップには一日の長、ノウハウの蓄積がある。

ミニストップが被災地では品薄の牛乳を他社から仕入れたり、首都圏で食品工場が計画停電などで供給不足になっているおにぎりを手作りしたりと、素早い対応を行ったことは確かに社会的にもすばらしいことだ。しかし、そこには市場のニーズという外部環境を読み、競合と自社の強み・弱みを見極めて商機を見つけて展開しているという側面もある。

震災復興は恐らく長期戦になるだろう。便乗や過度な儲け主義は厳に戒められるべきであるが、長きにわたる期間を善意や社会的意義だけで乗り切ることはできないのも事実だ。その意味では、ミニストップの今回の対応は1つのケーススタディーとして学ぶべきであろう。

《プロフィール》
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
◆この記事は、「GLOBIS.JP」に2011年4月1日に掲載された記事を、東洋経済オンラインの読者向けに再構成したものです。

 

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