■たかがラーメン、されどラーメン
国民食として定着した感のあるラーメン。新横浜ラーメン博物館のサイト「ラーメンの歴史」では、その歴史を5つに区分している。ラーメン夜明け前(~1910)、黎明期(1910~)、定着期(1940~)、発展期(1958~)、多様化期(1996~)。年表を見ると、実に大きな進化を遂げてきたことがよく分かる。それぞれに、人生の思ひ出が重なり、うっすら感動すら覚えるほどだ。
両親に連れられて行った「ハレ」としてのラーメン屋。流行り始めた豚骨ラーメンを学校帰りに山盛り食べたっけ、給料日前にいつもすすった「ラ王」…。今振り返ってみると、改めて、生活に密着した食であることに気づかされる。
2011年1月11日付朝日新聞の記事『中華そば 「国民食」から「国際食」へ』によると、日本政府観光局の訪日外国人に対する「日本への期待度」調査はかつて、「ショッピング」が1位だったが、08年に「日本の食事」がその座を奪った。10年前の外国人にとっての日本食の1~3位はすし、天ぷら、刺し身の順だったが、09年にラーメンがすしに次いで2位に「躍進」した。「麺文化」の伝統があるアジアの観光客に限ると、ラーメン(27%)がすし(34%)に迫り始めている。
インスタント麺の世界的な普及も考えれば、そのインパクトはハンパじゃない。ついに、B級グルメの雄であるラーメンが、クールジャパンの顔として表舞台に立ち始め、今や、国民食どころか、「人類はラー麺類」状態になりつつあるのだ。
さて、その存在感とは裏腹に、前掲の記事によると、市場規模は約4250億円で、回転ずし業界と同じぐらいの規模に過ぎない。外食産業全体が約24兆円だから、意外に少ないとも言えるかもしれない。
限られたパイを巡って、個性を競い合う職人系の店に、チェーン展開する店が混ざり合い、「犬も歩けばラーメン屋に当たる」というほど乱立しているのが、現在の国内市場の動向といえる。
今回は、そのラーメン店の話だ。
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