――SVB破綻の原因となった長期資産への投資リスクは、昨年春にFRBが利上げを開始した時点で、銀行として予見できたことではなかったでしょうか。なぜ、このような事態を未然に防げなかったのでしょうか。
SVBの破綻は資産サイドの運用というより、負債サイドつまり預金の調達方法に原因がある。銀行は典型的な構造として、短期と長期の負債を持っているが、今回のように(預金の流出によって)短期負債の調達が逼迫したときにSVBはどうするべきかを考えられていなかった。
背景には、預金者のセンチメントが読みづらくなっていることもある。今回はバンクラン(取り付け)があまりにも早く、広範に渡った。
ソーシャルメディアの影響や「リクイディティ・ポータル」と呼ばれる、預金者がボタン一つで預金を他行に移せる仕組みが整っていたことも大きい。以前であれば書類の記入や銀行口座の新規開設などが必要で瞬時にキャッシュを動かすことはできなかったが、それができるようになっていることも関係している。
今後の預金保護の議論に注目
一方で、金融当局の対応は早く、正しかった。3月12日にFDIC、FRB、米財務省はSVBとシグネチャー・バンクにおける預金の全額保証や納税者の負担なしでの破綻処理、FRBによる追加の資金供給手段の創設を決定するとの共同声明を発表した。FRBの銀行向け融資は3月15日の週に3000億ドル急増した後、その翌週は170億ドルの増加にとどまった。
これはほぼ完全に破綻した銀行に貸し出されたもので、流動性が十分な銀行が新たにFRBから資金を調達することなく、預金の流出に対処できることを示唆している。FRBは最終的なレンダー(貸し手)として機能していることを証明した。
FDICも保険対象を一時的に、SVB以外のすべての預金に拡大する方法を検討しているとされる。米財務省は、現在の上限である1口座当たり25万ドルを超える預金を保護するのに十分な緊急権限を連邦規制当局が持つかどうかについて調査をしているところだ。
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