注目されたECB(欧州中央銀行)政策理事会は3月16日、予告通り3会合連続となる0.5%の大幅利上げを決めた。
声明文の書き出しは「あまりに高く、あまりに長くインフレが見込まれるため(Inflation is projected to remain too high for too long)、0.5%の利上げを決めた」という一文から始まっている。インフレ抑制が依然として政策理事会の最大の関心事であることの表れなのだろう。
政策決定は3~4名のメンバーが反対したことが示されつつ、そうしたメンバーも利上げ路線に根本的な反意を示したわけではなく、「追加的なデータ収集を行い、状況が明らかになるまでわずかな時間(a bit more time)を取るべきではないかという様子見ゆえの反対だった」とラガルドECB総裁は説明している。
リーマンショック経て危機対応ツールを完備
スイスの大手金融グループ、クレディ・スイスの経営不安には目を配りつつ、「(リーマンショックに至る)2008年のようなシステミックな危機の淵に立たされているリスクがあるか」と質した最初の記者に対してラガルド総裁は、市場の緊張を注意深く監視していると述べ、銀行部門は厳格な規制導入を背景として2008年当時と比較すれば頑健であると強調した。
そのうえで「ユーロ圏の金融システムが必要とすれば、流動性供給を行うツールキットを完璧に備えている(ECB’s policy toolkit is fully equipped to provide liquidity support to the euro area financial system if needed)」とも述べている。
具体策こそ明らかにされていないが、金融危機を経てECBが備える長期流動性供給(LTRO)の手段には、さまざまな期間・仕様がそろっている。この点に関してはFRBよりも充実しているとラガルド総裁は強調しているが、あながちブラフ(はったり)とは言えない。
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