ナポリタン「一品料理じゃなかった」昔の驚きの姿 元々は高級料理、なぜ家庭向けで広まったのか

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『婦人倶楽部』1962年11月号付録の『栄養と経済を考えたおいしいおかず』には、銀座イタリアン・ガーデンズの「スパゲッティ・ナポリタン」が紹介されていますが、茹でたスパゲッティを水にさらして冷やしてから、タマネギやピーマンと炒め、トマトケチャップで味付けしています。

本来のフランス料理である付け合せのNapolitaineは、作り置きの冷えたものを使います。一方、一品料理として主役となった日本のスパゲッティ・ナポリタンの場合、冷えたままで客や家族に出すわけにはいけません。熱々の料理として提供する必要があります。

調理法が「和える」から「炒める」に変化

とはいえ、客の注文を受けてから、あるいは家族が食卓についてからスパゲッティを茹で始めると、茹で時間の間待たせてしまうことになります。

あらかじめスパゲッティを茹で置きしておいて、客の注文が入る、あるいは家族が席に着く段階で炒めて加熱すれば、短時間で熱々のスパゲッティ・ナポリタンを提供することができます。

付け合せから一品料理へと変わったことの影響により、スパゲッティ・ナポリタンの調理法が 「和える」から「炒める」へと変化していったのではないかと推測します。

近代食文化研究会 食文化史研究家

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きんだいしょくぶんかけんきゅうかい / Kindai Shokubunka Kenkyukai

食文化史研究家。2018年に『お好み焼きの戦前史』を出版。以降、一年に一冊のペースで『牛丼の戦前史』『焼鳥の戦前史』『串かつの戦前史』『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』等を出版。膨大な収集資料を用いて近代の食文化史を解き明かしている。(Amazon著者ページTwitterアカウントnote

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