ナポリタン「一品料理じゃなかった」昔の驚きの姿 元々は高級料理、なぜ家庭向けで広まったのか

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ナポリタン(写真: jun / PIXTA)

昭和初期の銀座に、帝国ホテルで修業したシェフが料理長を務める「スコット」というフランス料理店がありました。

食通で有名だったコメディアン・古川緑波によると、スコットの名物はスパゲッティ・ナポリタンだったそうです。

“たしか、ここでは、スパゲテイのナポリタンも名物じやなかつたかしら。現今の、イタリア料理店のように、スパゲテイと、ソースを別に持つてくる式でなく、すでに、トマトソースで和えてある奴だつた。”(「食国漫遊24」 古川緑波 『週刊東京1956年2月第2週号』)

スコットのシェフが修業した帝国ホテルの第11代料理長・村上信夫によると、昭和の初めの頃の帝国ホテルのフレンチは、近代フランス料理の父と言われるエスコフィエの『Le Guide Culinaire』を教科書としていました。

近代フランス料理の父 エスコフィエ (画像:近代食文化研究会)
“私どものころはエスコフィエが日本のコックが勉強する唯一の、たった一つの本だったんですね。”
“新しいメニューが出て、 シェフに「これどういうふうにやりますか」って聞くと、「エスコフィエ読んできたか」「はい。エスコフィエにはこう書いてありました」と言うと、「そうか」 と言って”(村上信夫 高橋忠之『対談 料理長』)

その『Le Guide Culinaire』に、その名もズバリNapolitaine(ナポリタン)という料理がありました。

家庭料理へと変化したスパゲッティ・ナポリタン

Napolitaine Auguste Escoffier『Le Guide Culinaire』(1903年初版)より引用(画像:近代食文化研究会)

これがエスコフィエのNapolitaineレシピ。茹でたスパゲッティを粉チーズ、トマトピューレ、バターで和えた料理です。

このNapolitaineは、一品料理ではなくガルニチュール(添え物、付け合せ)に使う料理。

東京の古典的な洋食やお子様ランチ、弁当に少量のスパゲッティ・ナポリタンがちょこんと添えられていることがありますが、あれがフランス料理Napolitaineの本来の姿。

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