「びっくりしました。勘違いだったら怖いと思って自分で何度も合否結果を見て、友達にも確認してもらいましたけど、それでも信じられませんでしたね(笑)」
こうして、彼女は自分の力で人生を変えることができたのです。
生まれ、教育、環境などのあらゆる格差を乗り越えて志望大学に合格したえんじてゃさん。彼女は浪人して良かったことを「自分が頑張ればできる人間だと知れたこと」と言います。
「私はいつも、周囲が何かしら子どもの時に習い事をしていたのを気にしていたんです。友達と比較して、ずっと自分は何も能力がないと思う自己肯定感が低い子でした。でも浪人して、初めて能動的に挑戦して、自分の力だけで目指した大学に行くという成功体験を得られたので、生きていく自信がつきました」
また、ここまでがんばれた理由に関しては、「結婚できないと思っていたから」という返事が返ってきました。
「容姿が悪いから将来結婚できないと思い込んでいたんです。だから、勉強することでしかもう自分は人生を逆転できないと思っていました。やるしかなかったんです」
虐待から生まれた容姿へのコンプレックスも、大学進学後にあたたかい仲間に囲まれたことでなくなったそうです。価値観は環境で変わります。絶望的な環境からの逆転を見事に成し遂げた彼女は、自信とともに心の余裕も手に入れていました。
信念を持ってアイドル活動を始める
今、彼女は大学4年生。コロナ禍で授業がオンラインになったのを機に東京でインターンをはじめ、地下アイドルとなり、自身のグループ『アイドル失格』を立ち上げてプロデュースをしています。それにも彼女なりの信念がありました。
「私はアイドルがずっと好きでした。でも、実際に地下アイドルをやるうちに構造上の欠陥に気づいたんです。拘束時間が長いのに歩合率が低くて、若い女性の夢を利用している気がしました。だから、1人のアイドルとして、アイドルをする側とファンの人たちをつないで居場所を作りたいと思ってグループを立ち上げ、この業界のあり方に意義を呈したいと思いました。そのため、今は愛知県立大学から東京のデジタルハリウッド大学に編入学し、総合芸術の勉強をしています。私はこのアイドル活動を通して、業界に関わって不幸になる人を1人でも少なくしていきたいと思います」
世の中の不条理と戦い、一定の成果を収めた彼女の新たな戦いが、また始まりました。
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