「根性論を押し付ける環境は合わないと思いました。この経験のおかげで、自分は勉強をして大学に行かなければ、自分にとって生きやすい環境に辿り着けないことがわかったので、浪人生活を始めました」
彼女が浪人に踏み切れた理由は、専門学校通いと並行してやっていた塾講師のアルバイトで、大学生との接点ができたことも大きかったそうです。浪人生で塾講師採用は珍しいものの、えんじてゃさんの人柄やこれまでの成績などを鑑みて採用してもらえたそうです。
現役時に志望校に落ちてしまった理由を「生活環境」だと認識できたのも、この経験のおかげでした。
「名古屋大学の学生が多い職場だったのですが、理知的で優しくて友達になりたいと思える人ばかりでした。受験を失敗してからいろんな経験をしようと、積極的に自身のいる環境を変えたおかげで、『周囲が勉強することに理解を示さない場所にいたことが失敗の原因』だと気づけました」
「彼らと接したことで、大学入学後の自分を想像できた」と語る彼女は、勉強に力が入るようになります。とはいえ、親の支援がまったくなく、すべて自身で生活費から受験費用、大学入学までを賄わなければならない彼女にとって、金銭面の問題は重くのしかかりました。
塾講師でお金を稼ぎ学力も身につける
それを彼女は「塾講師をすることで、年額100万円以上かかる予備校で学ぶ基礎学力を身につける」という、お金を稼げて学力もつけられる一石二鳥のアイデアで乗り切ることができました。
「1日90分の授業を週に25回やっていました。小学校~高校3年生の生徒まで幅広く見ていたので、月に20万弱稼ぎつつ、基礎固めをしっかりできたのです。現役のときはセンター試験のマーク式の問題ができればいいと思って問題集を解くだけでしたが、教えることで本質的な理解ができるようになりました」
この自ら教えることで学ぶという意識のおかげで、現役時は直前期以外E判定ばかりだった模試の結果も、一浪の時はC~Aで安定するようになったのです。
「9月にはお金も貯まり、基礎も固まったと思ったので、12時間労働を5時間に減らして10時間ほど勉強をするようになりました。そうすることで確かな力が身について、前年に59%だったセンター試験で76%をとれたのです」
この結果を受け、二次試験を受けずとも合否が出るセンター利用推薦入試で合格が確定し、彼女は1年間の浪人生活を終えました。
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