憂鬱な人は「やる気が出る仕組み」をわかってない 臨床心理士が説く「モチベーションを育てる」方法

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目標とのつながりを保つことはとても大切だ。なぜなら、目標はつねに育まれることを必要とするからだ。日々、目標に立ち帰ろう。それには、日記をつけるといい。1日の始まりの1分間、目標を達成するためにその日にすべきことを1つか2つ、リストアップしよう。そしてその日の終わりには、今日を振り返って、数行書き記そう。この種の作業はそれほど時間がかからないので、継続しやすい。せいぜい数分ですむだろう。毎日それを行うことで、自分の行動に責任を持ち、目標に気持ちを集中させ続けることができる。

大きな変革はいっぺんに行えない

<タスクを小さくする>

大きなタスクは「めんどくさい」という感情を招くので、タスクは小さく、焦点を絞ったものにしよう。セラピーでは、クライアントは1つの課題だけを家に持ち帰り、それに集中する。人は一度に1つのことにしか集中できないし、したくないと思うことをする能力は限られているからだ。

しかし、当然ながら大半の人はこのルールを守ろうとしない。人生を全面的に見直さなければならないと考えて、大きな変革をいっぺんに行おうとする。だが、自分に過剰な期待をすると、燃え尽きたり諦めたりして、ついには絶望に陥る。そうなると再挑戦する可能性は低くなる。

長期的な目標に対するモチベーションが下がったときには、小さな報酬が助けになる。外発的報酬ではなく、内発的報酬だ。自分の努力には価値があることを認め、頑張っている自分を褒めてあげよう。そうすれば、自分が望ましい変化に向かっていることを自覚し、努力を続けることができる。

そうやって進歩や小さな勝利を認めることで、努力が自分の世界に影響を与えられることに気づき始める。自分に主体性があるというこの感覚は、エネルギーを回復し、努力を続ける助けになる。新しい習慣を身につけるには、小さなことから始めて、1つずつ定着させていくのが望ましい。健康的な行動を優先する習慣をひとたび身につければ、それが支えになるだろう。

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