CFO出身社長が有力企業で続々と誕生している訳 会計が得意であれば立派な経営者になれるのか

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経営に会計は欠かせないとしても......(写真:yakiniku/PIXTA)

CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)、CSO(最高戦略責任者)、CTO(最高技術責任者)、CIO(最高情報責任者)、そしてCFO(最高財務責任者)。この他にも、C…O(最高……責任者)という役職名が多々ある。

歌詞に英語を入れるのが定番になったJ-POPのごとく、日本企業でも上記のような三文字略語 (TLA=three-letter abbreviation)で表記する役職名が増えてきた。このうち、「トップ」と呼ばれる人は、ほとんどがCEOである。COOは会長ではなく社長に相当する場合が多いが、執行の責任者ゆえ、CEO並みの権力を有していた昭和の「社長」とはニュアンスが異なる。

さらに、執行役員なる役職も定着し、今や、「偉い人」のオンパレードである。だが、それら役職の条件が法律で定められているわけではない。CEO兼会長兼社長、CEO兼会長など、どのような名称を使おうが各企業の自由なのだが……。

近年注目すべき動きは、これら三文字略語役職者のうち、CFO経験者がトップに就任するケースが増えてきたことだ。たとえば、4月1日付で就任するソニーグループの会長CEO、社長COOは、両者ともCFO経験者である。なぜ今、CFOなのか。その背景と注意しなくてはならない死角について論じる。

異例だったトヨタ社長交代会見

トヨタ自動車が1月26日に発表した14年ぶりの社長交代は意表を突いた。なぜ、この時期にと思わせる時期もさることながら、物議を醸したのは、その発表方法だった。通常の会見を行わず、オウンドメディアである「トヨタイムズ」を使い、4月1日付で(代表取締役)会長に就任する予定の豊田章男(代表取締役)社長と、次期(執行役員)社長になる佐藤恒治執行役員がオンライン上に登場したのだった。

一部のメディア、ジャーナリストからは、この発表スタイルに疑問を呈する声が聞かれた。だから、というわけではないだろうが、追って2月13日、東京でオンラインとリアルを組み合わせたハイブリッド形式による記者会見が行われた(トヨタの公式YouTubeチャンネルでも中継)。くしくも、豊田章一郎名誉会長が逝去する前日だった。同会見では佐藤氏が1人舞台を務め、新たな体制のもと、バッテリEV(電気自動車)の開発を抜本的に見直し加速していくと発表した。

社長交代をオウンドメディアで発表する善し悪しについては、議論を深める必要があるが、オンラインによる(記者・アナリスト)会見が、コロナ禍ですっかり定着してしまった事実は否めない。

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